3.異常が見つかったら医師とよく相談し、放置しないことが大事
人間ドックの結果判定はA〜Eに区分されます(下表参照)。このうちCは再検査や追加検査、生活習慣の改善が、Dは精密検査または治療が必要になります。がんなどが見つかって緊急性が高いときは医師から直接連絡が入ることもあります。
人間ドックの結果判定区分とその見方(日本人間ドック学会)施設により、区分には多少の違いがある「再検査でよくみられるのは、便潜血検査で陽性判定となり大腸内視鏡検査が必要となる場合です。理由をつけて精密検査を受けない人がいますが、翌年に大腸がんが発見されて後悔することもあるので、放置せず大腸内視鏡検査を必ず受けていただきたいです。これは便潜血検査にかぎらず、すべての検査結果に共通します」と本田先生は助言します。
また、生活習慣病にかかわる検査項目でCやDの判定になったときは、結果説明で自分の検査値について医師からよく説明を聞いたうえで生活集団指導、必要なら治療を受けるのがよいそうです。
「日本人間ドック学会機能評価認定施設(2022年10月21日配信予定の第5回、または『家庭画報』2022年11月号別冊『医学画報』13ページを参照)では、管理栄養士や保健師が検査結果に基づいてアドバイスを行っています。異常値を指摘された段階で食事内容などを見直して生活改善に取り組むと、動脈硬化疾患の発症リスクを下げることができます」。
〔豆知識〕
腫瘍マーカーの数値をどう判断する?
腫瘍マーカーとはある種のがんにより増加する物質のことで、検査では血液や尿に含まれる腫瘍マーカーの数値を測定します。本来は、がんの治療効果の判定に用いるものです。
人間ドックなどでがんと診断されていない人に対して行われる腫瘍マーカー検査は、偽陽性(がんではないのにがんの疑いがかかる)も多く、基準値を超えた場合は、画像検査などほかの検査結果と合わせて医師が総合的に判断します。
基準値を少し超えた程度の値の場合は、期間を置いて再検査し、数値の変動を確認することもあります。また、偽陰性(がんがあるのに数値が正常範囲内)が極めて多いのが現状で、腫瘍マーカーの値が基準値内だからといってがんにかかっていないという判断もできません。