前作は大植のスウェーデンの家に泊まり込み、ネタを出し合うところから始動。今回も3月に1週間の“スウェーデン合宿”を予定しているそう。――第1弾は、大植さんが主導するコンタクトワーク(相手と体で接触しながら交感し動きを紡ぎ出す)をベースに、しゃべったり、チョークで床に文字や絵を描いたりと、まさに体と言葉の“談ス”といった作品でした。今回はどんなものになりそうですか?
森山:「まだ全く想像もつかない状態です。ただ、5月の公演の前に『ヌード展』(3月24日~6月24日/横浜美術館)で一夜限りのパフォーマンスをすることになっているので、そこを見据えた話はしています。英国テート美術館が所有する絵画や彫刻を見ながら、ヌードの歴史をたどる……みたいな展覧会で、先に巡展している韓国まで見に行って、レクチャーも受けたんです」
――どんなレクチャーですか?
森山:「たとえば、キリスト教に基づいた西洋のヌードの在り方について。キリスト教徒の人たちにとって、アダムとイブが罪を負って着衣を始める前の裸の世界は、まさに楽園、理想郷。西洋のヌードは、それを追い求めることを理由に始まっていると。そう考えて日本を見ると、春画のようなものはあっても、純粋なヌード、健在な肉体として裸を描くという感覚自体がなかったんじゃないかと思えてきて」
大植:「確かに西洋絵画のヌードを見ても、いやらしさを感じませんよね。そういうスコーンと抜けた感じの裸ってものに、日本だとあまり出合わない気がする」
森山:「ですよね。“恥部を晒す”感覚が強いのが、日本のヌードの在り方なのかもしれない。よく、キリスト教圏では罪の意識、日本では恥の意識が自分や社会を制御しているというけれど、ヌードにもそれが表れているのかなと。まあ、だからって、僕らが今回の作品で恥部を晒すわけじゃないですけど(笑)」
東京3か所以外に全国13都市を回る予定。「前作では四国に行けなくて心残りだったんですが、今回は徳島公演があるので嬉しいです」(森山)。