子どもたちが安心できる居場所と逃げ場を
未来を担う子どもたちの状況も心配だらけです。最大の問題は、子どもに学校と家庭しか居場所がなく、どちらも必ずしも安全な場所ではないことでしょう。
親はまず、ここに気づかなくてはなりません。若い頃、私が塾の講師をしていたときにある中学生からいわれたことを今でも思い出します。「僕には学校にも家にも気を抜く場所がない。気を抜けるのはここだけだ」。私は驚いて「わかった、私が今日から子どもたちのための赤提灯の女将(おかみ)をやろう」と思いました。大人に職場でも家庭でもない居酒屋という憩いの場があるように、
子どもにも息を抜ける第三の場所(サードプレイス)が必要です。昔は、子どもが気軽に上がれる祖父母や親せき、友達の家が身近に存在していました。最近では塾や習い事の教室、児童館、あるいは子ども食堂などがその役割を果たしている場合もあるでしょう。もしそれがないのなら人為的にでも作って与え、自分の親や学校の先生の存在が唯一絶対ではないこと、
世の中にはいろんな価値観を持つ大人がいることを教え、子どもが頼れる大人の選択肢を増やしてあげなければなりません。オンライン上のつながりも居場所の一つになります。アカウントをいくつも持っていれば一か所ではじかれても別の場所に逃げることができますから。