幸せな老後のために介護保険制度改悪を阻止
老後をどう過ごすか。この問題からも目をそらすことはできません。
女性が90歳を超えて生きる確率は2人に1人以上(男性は4人に1人以上)。そこまで視野に入れなければ、老後の人生設計も成り立たないのが今を生きる女性の現実です。やがて必ずフレイル(身体の脆弱)状態が生じ、自立が難しくなる時期が訪れます。そのときにどこでどのように過ごすか、心の準備と環境整備をしておくことが必要です。私の住まいは完全バリアフリーのマンションですが、“おひとりさま”が住み慣れた自宅で最期まで過ごすために最低限必要な「3点セット」――訪問介護、訪問看護、訪問医療は確保しています。
ところがここにも大問題が生じています。2000年にスタートした介護保険制度は、家族がすべてを担っていた介護を公的サービスに移行させる画期的な法整備でした。しかしあろうことか、改定のたびにサービスの低下と利用料の負担増が進んでいます。「老後の沙汰も金次第」といわんばかりの改悪。家族も経済力もない人はいったいどうしたらよいのでしょう。
私たちは、この制度の後退を決して許してはなりません。2023年も引き続き、介護保険制度の改悪阻止のために、もうひと踏ん張りしなくてはと思っています。
最近、私には若い人とやりとりをする機会が増えました。若い人たちから
「こんな世の中に誰がした」――と詰め寄られたら私たち大人がごめんなさい、と謝るしかありません。
「こんな世の中にしてごめんなさい」と謝らずにすむ世の中を、次の世代の人に手渡したいと切に願っています。
撮影/後藤さくら イラスト/毛利千恵子 取材・文/浅原須美 構成・取材・文/小松庸子
『家庭画報』2023年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。