「周囲とごきげんな関係をつくるには理解と応援が大切なんですね」── 松岡さん
理解し、応援することで人間関係もごきげんに
松岡 妻やマネージャーが不きげんなときは、僕は何ができるでしょう?
辻 理解に努めることですね。人には「わかってほしい」という強い本能がありますから。たとえば、仕事から帰宅して、妻に「今日いやなことがあったのよ」といわれると、男性は「どうして?」と理由を追求したり、「こうしたほうがいいよ」とアドバイスしたりしがちなんですが、そこは「いやなことがあったんだね」がいいんです。
松岡 意見を求められているわけではないんですね?
辻 ないです。相手を理解すること、わかろうと努力することが人間関係をごきげんに保ちます。
松岡 他人だけでなく、自分自身についても理解を深めれば、きげんがよくなりそうですね。
辻 おっしゃるとおりです。ごきげんな人間関係のもう一つの鍵は、「期待より応援」。期待というのは自分や他人を勝手な枠組みにあてはめて見返りを求めること。ほとんどのイライラはそれが叶えられなかった不満から生まれます。でも、応援は見返りを求めない。だから、いつも応援している修造さんは最高のごきげん伝達者なんですよ。
松岡 嬉しいです! 生涯、応援を軸に生きていこうと思っているので。僕は頑張っている人を見ると応援したくなり、応援すると感動とエネルギーをもらえるんです。
辻 エネルギーを他者に与えようとすると自らのエネルギーが増えることを、心理学では「フォワードの法則」といいます。ごきげんメソッドの王様なんです、応援は。
松岡 今日から修造を「ごきげん造」に変えたいなぁ。
辻 ごきげん造さん、最高です! みんながごきげんになれば人間関係もよくなり、最終的には世界平和に至る。僕は本気でそう信じています。
修造の健康エール
辻先生ご自身はいつもごきげんですか? そう尋ねると、先生は「はい!」と即答。「妻と娘2人が今ここにいたら、家でも外でも変わらずごきげんだと証言してくれますよ」と自信たっぷりにおっしゃるので、僕は思わず拍手しました。
そんな辻先生も病院で研修をしていた頃は不きげんな日も多く、看護師さんをやり込めることもあったのだそう。「でも、きげんよく生きる質のいい人生を知って、当時3歳と0歳だった娘たちにはそういう生き方をしてほしい、そのためには父親である自分が体現しないと、と思ったんです」。
先生のお話を伺って、僕は誰でもいつからでもごきげんな人になれると感じました。まずは自分の心に「ごきげんいかが?」と問いかけることから始めてみませんか。
松岡 修造(まつおか・しゅうぞう)
1967年東京都生まれ。1986年にプロテニス選手に。1995年のウィンブルドンでベスト8入りを果たすなど世界で活躍。現在は日本テニス協会理事兼強化本部副本部長としてジュニア選手の育成・強化とテニス界の発展に尽力する一方、テレビ朝日『報道ステーション』、フジテレビ『くいしん坊!万才』などに出演中。『修造日めくり』はシリーズ累計210万部を突破。近著に『教えて、修造先生! 心が軽くなる87のことば』。ライフワークは応援。公式インスタグラム/
@shuzo_dekiru撮影/鍋島徳恭 スタイリング/中原正登〈FOURTEEN〉(松岡さん) ヘア&メイク/大和田一美〈APREA〉(松岡さん) 取材・文/清水千佳子
『家庭画報』2023年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。