伴侶は海と一つになった。だから、その海とは離れられない
千恵子には、離れて暮らす娘・香苗(佐津川愛美)と息子・哲也(堀井新太)が。2人もあの日以来、それぞれに癒えない傷を抱えています。そんな3人のもとにある手紙が届いたことから、止まっていた家族の時間が動き始め……。そして、千恵子は名古屋で一緒に暮らそうという香苗にこう言います。「私はここにいる。この浜が好きなんだもの」。でも、その浜は夫を奪われた場所。
「もちろん、憎いという気持ちはあったと思います。でも、受け入れなければ千恵子は前を向けない。伴侶が海と一つになってしまったから、その海とは離れられなくなっちゃったのね。夫が海そのもの。だから、今までも大好きな海だったけど、別の意味でかけがえのないものになった。娘と暮らしたい気持ちはあるけど、海といたい。やっぱり海。そういうことだと思うんですよね」
「このキャラクター(千恵子)を夏木さんにお願いしてよかったと思える作品になっています」と本作の監督・榊 英雄さんは言う。