香水は、究極の自己表現
アンリ・ジャック CEO アナリズ・クレモナさん
「アンリ・ジャック」創設家に生まれ、幼い頃より最高峰の香水への哲学と情熱を受け継ぐ。数々の香水グループでキャリアを積んだのち、CEOに就任。ブティック展開などを手がける。Q1 現在のフレグランスの存在意義をどのように感じていますか?
女性の立場や発言力が、これまでの歴史の中で最も大きく影響力のある時代に、私たちは生きています。女性の生き方や心の在り方と同様に、香りに対する嗜好も変化しているはず。
私たちは香水を「究極の自己表現」ととらえています。それを踏まえたうえで、目まぐるしく移り行く世の中においては、根源的な基本に立ち返ることが大事だと思います。天然素材から抽出された香料とそれに対する深い情熱が、ラグジュアリーな香水メゾンにとっての基本です。今日ではブランドがその役割を担っており、各ブランドのメッセージはとてもパワフルなものですね。
Q2 自分自身を託すフレグランスと出会う方法を教えてください。
現代においては、ラグジュアリーとは“時(とき)”、つまり自分の時間のことです。自分に合う香水に出会うためには、自分自身の感情や欲望に耳を傾ける時間が必要です。
Q3 香水の作り手であるみなさんは、香りをどのように楽しんでいますか?
我が家では香水は生活の一部であり、さまざまな香りを組み合わせて試すことは日常的なことでした。この経験がアンリ・ジャックのコレクションを選ぶベースになっていることは疑いようがなく、私は毎日これらのコレクションとともに生き、楽しんでいます。
また、私は香りのワードローブを持つというコンセプトも大好きです。常に香りを複数持つようにしていて、その中から1つをその日の気分に合わせて選んで纏います。その日の服装に合わせてアクセサリーを選ぶのとまったく同じです。この流れこそ、ラグジュアリーかつ贅沢で、一度知ってしまうと元には戻れないものです。
〔特集〕自身を託すフレグランスと出会う 最上級の香りをまとうという贅沢(全12回)
表示価格はすべて税込みです。
撮影/KAZ ARAHAMA スタイリング/阿部美恵 取材・文/巽 香
『家庭画報』2023年3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。