イタリアが誇る スパークリングワインの魅力
ミラノ・マルペンサ空港からクルマを北東に走らせて約1時間。風光明媚なイゼオ湖畔の南に広がるフランチャコルタ地方はスパークリングワインの銘醸地。特別な日の乾杯のワインとして、食中酒として。フランチャコルタの多彩な魅力に、現地への旅を通して迫ります。
前回の記事はこちら>>5分でわかるフランチャコルタ入門
氷河の浸食作用が残した起伏豊かな丘陵地帯よりイゼオ湖を望む。個性豊かな5つのスタイル
他のスパークリングワインに比べ、フランチャコルタはスタイルを名乗る規定が細かく決められていることも特徴です。少々ややこしくも感じますが、エチケットを見ればどんなワインなのかがわかるため、実はお好みの一本に巡り合いやすいのです。
1.ベーシックなスタイル「フランチャコルタ」
使用可能なぶどうはシャルドネ、ピノ・ネーロ、ピノ・ビアンコ(上限50%)、エルバマット(上限10%)。瓶内二次発酵と酵母の澱を入れたままの熟成期間は最低18か月。ボトルの内圧は平均5~6気圧前後。
2.白ぶどうのみの優しい味わい「サテン」
使用可能なぶどうはシャルドネ、ピノ・ビアンコ(上限50%)のみ。瓶内二次発酵と酵母の澱を入れたままの熟成期間は最低24か月。5気圧以下の内圧によるなめらかな口当たりの世界で唯一のカテゴリー。
ベースとなるワインは樽やステンレスタンクで一次発酵がされる。3.ぶどう本来の色合いを楽しむ「フランチャコルタ ロゼ」
使用可能なぶどうはシャルドネ、ピノ・ビアンコ(上限50%)、ピノ・ネーロ(35%以上)、エルバマット(上限10%)。瓶内二次発酵と酵母の澱を入れたままの熟成期間は最低24か月。ピノ・ネーロの果汁を望む色調になるまで果皮ごと発酵して造られる。
4.良質なヴィンテージの個性を楽しめる「フランチャコルタ ミッレジマート」
使用可能なぶどうはシャルドネ、ピノ・ネーロ、ピノ・ビアンコ(上限50%)、エルバマット(上限10%)。特に作柄のよい年に収穫されたぶどうのみを用いて、瓶内二次発酵と酵母の澱を入れたままの熟成期間は最低30か月。
二次発酵が終わり、熟成が完了したら動瓶工程に。時間をかけて1/8ずつ回転させながら瓶の口を下に向けていき、酵母の澱を瓶の口に溜める。5.極上年のワインを5年以上熟成「フランチャコルタ リゼルヴァ」
使用可能なぶどうはシャルドネ、ピノ・ネーロ、ピノ・ビアンコ(上限50%)、エルバマット(上限10%)。ミッレジマートの中でもポテンシャルに優れたワインを用い、酵母の澱を入れたままの熟成期間は最低60か月というフランチャコルタの最高峰。
地球の未来のためのオーガニック
フランチャコルタでは現在62%以上のぶどう畑が有機栽培に取り組んでいます。その先駆者的存在が「バローネ・ピッツィーニ」のシルヴァーノ・ブレシャニーニさん。
ブレシャニーニさんはフランチャコルタ協会の会長も務め、品質向上や普及活動にも尽力している。昆虫や雑草が滅するほどの強い薬を使う農業ではなく、自然を尊重する環境で育つぶどうだからこそ高品質なワインができるという信念のもと1998年に有機栽培への取り組みを始め、2002年に初めてオーガニック・フランチャコルタを世に送り出しました。
ぶどう畑に生き生きと茂る雑草が、健全な自然環境を作る大事な役割を果たしている。そのクオリティは年を追うごとに評価を高め、地域全体に有機栽培にチャレンジする流れをもたらしています。オーガニックは単なるテクニックや一時的なブームではなく持続可能な未来に向かう文化として、この地に根付きつつあります。
イタリア・フランチャコルタを旅して出会った、今注目のワイナリー>>
この特集の掲載号
『家庭画報』2023年9月号
撮影/本誌・西山 航 取材協力/フランチャコルタ協会
『家庭画報』2023年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。