〔特集〕新時代の王室を祝い、活気ある街を旅する 新しい英国 2023年5月6日、エリザベス女王のとき以来70年ぶりに戴冠式が行われました。新国王チャールズ3世誕生に沸くイギリスで、王室ゆかりの場所と、ロンドンから少し足を延ばして訪れたいマナーハウスへご案内します。
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本館の前に植えられた1500株のイングリッシュ系ラベンダー・ヒドコート。このラベンダーを使った、特製ジンやペーストリーは最高においしい。人なつこい猫がお出迎え。
カリスマシェフが築いた理想郷「ル・マノワール・オ・キャトル・セゾンベルモンド・ホテル(Le Manoir Aux Quat’Saisons A Belmond Hotel)」
のどかな田園風景が続くオックスフォードの郊外に建つ、15世紀の邸宅を改築した名門マナーハウス。イギリスの料理番組で人気のフランス人カリスマシェフ、レイモン・ブラン氏がこの27エーカーもの広大な庭に心を奪われ、1984年に有機栽培の自家菜園を造り始めたのがきっかけです。農家出身の父と料理が得意な母のもとで、自然と戯れながら育ったブラン氏は、当時の懐かしい食事や、旅先で訪れた憧れの空間をここで再現したのです。
部屋に案内されると、その見事にコーディネートされたインテリアに気持ちが高ぶります。バスルームもジャグジーがあり、新しい設備で快適。窓際に置かれたシャンパンや、焼きたてのパウンドケーキ、採れたてのフルーツをいただきます。窓の外に目をやると、ラベンダー畑が広がり、花の香りが漂う静かな空気が流れます。
ブラン氏は料理を独学で勉強し、このオーベルジュを開業してから30年以上もミシュラン2つ星を維持してきました。そのおいしさの秘密の一つは、自ら情熱を注いで育てている有機栽培の野菜とハーブ。唯一無二のモダンフレンチと笑顔のスタッフによる最高のサービスは、一生忘れられない旅の思い出を約束してくれます。
「ゲストの期待を常に上回るオーベルジュでありたい」と語るブラン氏。果樹園では絶滅の危機に瀕する英国原産のりんごの木を育て、ワインを造るため広大なぶどう畑を耕し、手土産のはちみつ用に養蜂を始めている。子どもから大人まで参加できる料理教室やガーデニングスクールも開催。
夕食は庭でアペリティフを楽しんでから。
地元の草花を中心に、スタッフが各部屋の花をいける。
全32室のゲストルームは、一つとして同じ内装、香りのものはない。『雪の女王』のおとぎの国を再現した部屋、南仏の柑橘をイメージした部屋といったように、それぞれ異なるデザイナーを起用した、細部まで洗練された芸術的な空間だ。右はアンティーク家具が特徴のスタジオスイートの「ハイドレンジア」。
朝食のクロワッサンやペーストリーは、ほかでは味わえない絶品。サーモンとスクランブルエッグ、果樹園の果物で手作りされたジャムとともに。
Church Road, Great Milton, Oxford OX447PD TEL:+44(0)1844 278 881 1泊1室900ポンド~ 全32室
※次回に続く
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