〔特集〕挑戦し続ける名宿 最上級の温泉宿 コロナ禍という試練を経て、日本の名宿が、原点を見つめ直し、新しい時代の新しい高級旅館の有り様を提示しつつあります。守りに入らず攻め続ける、名宿の覚悟と挑戦から、今後のラグジュアリー温泉宿の潮流を探ります。
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大谷山荘(山口・長門湯本温泉)
「大谷山荘スイート」にプライベートサウナを設置
サウナの後は、テラスで整う
テラスにはソファベッドやサウナチェアが置かれていて、大自然を目の前に外気浴ができる。露天風呂は約600年の歴史を持つ長門湯本温泉の源泉かけ流し。化粧水成分に近い、柔らかな湯が特徴。
ご主人は、町おこし(長門湯本温泉)の仕掛け人の一人
温泉地としてのエリア価値を高めることに尽力
自噴泉の上に建つ「恩湯」。公営だったところを大谷さんを中心に町の有志で2020年に建て直した。
「自然の中でのプライベートサウナは時代の要請です」 大谷和弘さん(大谷山荘社長)県内最古の温泉地・長門湯本温泉に、1881年に創業した「大谷山荘」。1994年には天皇皇后両陛下(現上皇上皇后両陛下)が宿泊され、2016年には日露首脳会談が行われた歴史ある老舗旅館です。
「こもれびの湯」は、山の緑、川のせせらぎが感じられる。
そして2023年7月、3タイプ・全23室の客室が新たにリニューアルオープンしました。そのうちの一つが120平米を誇る客室「大谷山荘スイート」です。
シックなトーンでまとめられたリビングルーム。左手にはダイニングテーブルも。風や水の音が心地よく聞こえてくる。
2つのスペースに区切られた寝室にはベッドが2台ずつ、計4台置かれている。家族旅行だけでなく、友人グループでの利用にも便利。
洋室4、5部屋分を1部屋にし、より付加価値を高めるため、初めてサウナも客室に設置。ゆったりと過ごせるラグジュアリーな空間が広がります。
4人で入っても十分な広さの本格的なサウナルーム。セルフロウリュで蒸気を発生させて湿度を上げることで、体感温度もさらに上昇する。
ロウリュ、水風呂、涼む場の3点が必須
サウナルームの隣の部屋には水風呂とシャワーも設置されている。その後、室内を通らず露天風呂やテラスまで移動できるので、スムーズに整える。
リニューアルについて、5代目社長の大谷和弘さんは「総客室数を減らし、長門の自然を楽しめるプライベートな部屋を作ることで、大谷山荘のブランド価値の向上を図りました。大旅館らしいパブリック空間で、よりパーソナルなおもてなしを実現できれば、ここでしか味わえない安らぎを感じていただけるはずです」と意気込みます。
右・萩の甘鯛の昆布締めと長門はなっこりーの先付。左・名産のふぐ刺しと旬の鮮魚のお造り。市場で仕入れた地元の食材を堪能できる。
町おこしの一環として古民家を改装した萩焼のギャラリーカフェ「カフェ&ポタリィ音」で遊んでいた3兄弟の息子さんたち、お友だちと。
大谷さんは7年ほど前から「長門湯本温泉観光まちづくり計画」にも積極的に参加。地元の生活者としての目線を大切にしながら、立ち寄り湯「恩湯(おんとう)」をはじめ、音信川での催しや川床の運用など、多くのプロジェクトを主導します。「まだまだ道半ばです。町も旅館も、みんなで進化し続けていきたいです」。
大谷山荘住所:山口県長門市深川湯本2208
TEL:0837(25)3300(9時~17時)
基本料金:1室2名利用で1泊2食付き1名2万7800円~、ご紹介した「大谷山荘スイート」は同11万300円~(ともにサービス料込み)。
全98室 IN15時/OUT11時
(次回へ続く。
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