5月27日まで国立新美術館で開催されている「マティス 自由なフォルム」展。マティスが後半生に取り組んだ「切り紙絵」の作品を中心に、これまでとは異なる視点で紹介される、とてもユニークで貴重な展覧会です。大きなサイズの作品や大掛かりな展示も圧巻。作品の見どころを、美術展プロデューサーの今津京子さんが解説します。
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第4回 《花と果実》(1)「マティス 自由なフォルム」
文/今津京子(美術展プロデューサー)
展覧会のハイライトは日本で初公開される横8メートル、高さ4メートルを超える大作。フランスにある切り紙絵の中で最大です。
「マティス 自由なフォルム」での展示風景。高さ8.7mの白い壁に鮮やかな色が映えます。アンリ・マティス《花と果実》1952-1953年 切り紙絵 410×870cm ニース市マティス美術館蔵 ©Succession H. Matisse
ロサンゼルスに住むコレクター夫妻が、自宅中庭の装飾タイル画をマティスに依頼しました。考案した4つの案の中の最初の一つがこの《花と果実》でした。4枚の花びらと3つの果実が一つの単位となって構成されています。どの花びらも果実もひとつとして同じものはありません。両側には柱頭のついた柱があって、建築物のよう。マティスの色と構図のバランス感覚の素晴らしさ、そして大画面をコントロールする力を実感させてくれます。当時の写真によって、この作品はニースのアトリエ、レジナ館の壁面で考案していたことがわかっています。
アンリ・マティス《花と果実》1952-1953年 切り紙絵 410×870cm ニース市マティス美術館蔵 ©Succession H. Matisse Photo: François Fernandez
マティス 自由なフォルム国立新美術館 企画展示室 2E(東京都港区六本木7-22-2)
会期:2024年2月14日(水)~5月27日(月)
開館時間:10時~18時 ※毎週金・土曜日は20時まで(入場は閉館の30分前まで)
休館日:毎週火曜日 ※4月30日は開館
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
観覧料:一般2200円ほか
展覧会ホームページ:
https://matisse2024.jp 今津京子/Kyoko Imazu 撮影/小野裕次
美術展プロデューサー。パリをベースに、今回の「マティス 自由なフォルム」、「ルーヴル美術館展 愛を描く」(2023年)、「ガブリエル・シャネル展 Manifeste de Mode」(2022年)、「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」(2020年)など、40年にわたり数十を超える大型展覧会の企画に携わる。日仏英の3か国語を操り、美術、ファッションなどの分野でジャーナリストとしても活動。音楽、演劇、料理、アンティークなどアール・ド・ヴィーヴルをこよなく愛する。
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