フィギュアスケート愛(eye)
本誌『家庭画報』の「フィギュアスケート」特集を担当する、フリー編集者・ライターの小松庸子さんが独自の視点で取材の舞台裏や選手のトピックスなどを綴ります。バックナンバーを見る>>>
高橋大輔さんがプロデュースした新感覚アイスショー『滑走屋』。オーヴィジョンアイスアリーナ福岡にて、2024年2月10日から12日までの3日間、1日3公演の計9公演が行われました。「こんなアイスショー見たことない」とアイスショー経験値高めの観客たちにもいわしめ、独創的で画期的だった『滑走屋』。終演後約1ヶ月半が過ぎた今、改めて感じる想い、次への課題と収穫などについて、高橋さんにお話を伺いました。
強い意志を放つ目力、恐ろしくも引き寄せられるペインティング、印象深いロゴ。このポスターからも、意志と覚悟を感じ取れる。写真は『滑走屋』インスタグラム公式アカウント@kassouya_officialより
日本人の若手スケーターと一緒に、ノンストップ75分を一日3公演
ーー今振り返られて、『滑走屋』の日々はひとことでいうとどのような時間でしたか?
高橋さん(以下D):本当に怒涛だったので、時間に追われた日々でした。でもあの限られた時間の中でキャスト、スタッフ全員が同じ気持ちで一所懸命頑張ってくれて……。全力で取り組めたので、やりがいしかなかったです。
ーー千秋楽の最後でも高橋さん始め、皆さん号泣されていましたものね。D:あれはもらい泣きです。多分、最初に佳菜子(村上佳菜子さん)あたりが泣き始めて、皆泣くから(苦笑)。
ーー配信(3月10日で終了)では初日の初回公演が終わった後で涙する高橋さんの姿も映し出されていて。思わずもらい泣きしました。D:初日がやはり一番来ていましたね。時間も足りないし、いろいろなことが起こり過ぎて、本番始まる直前まで本当に開けられるのかわからないギリギリの状態だったので。初回がなんとか無事に終わった後、一瞬緊張の糸が切れてしまった瞬間があったんです。そのときに思わず涙が……。演出・振り付けの鈴木ゆまさんと大号泣でした(苦笑)。
『滑走屋』ゲネプロより。プロデューサーとして、若手スケーターの選考から曲の流れまで奮闘した高橋さん。