〔特集〕私の最高レストラン 人生の節目で食した忘れられないあの味、大切な人と過ごしたあの名店でのひととき。今回、さまざまな分野で活躍される方々に「あなたの“最高”のレストランは?」という質問をしました。それぞれの「食」にまつわる思い出を辿っていくうちに見えてきたのは、かけがえのない「人生の物語」でした。
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母の日に寄せて
母との思い出レストランへ
七五三、誕生日、成人式──。記念日に母が心を込めて準備してくれたお仕度の記憶とともにあるのは幸せを彩る記念日レストランの存在ではないでしょうか。“母の日”に寄せて、家庭画報本誌ゆかりの方々に「母との思い出レストラン」をご紹介いただきました。母娘の思い出の料理と温かなエピソードをお楽しみください。
賀来千香子さん(俳優)
「40年間親子で通う“ほっとする洋食店”です」
「銀座 みかわや」は2フロアからなり、賀来さんはいつも螺旋階段を上がった2階で食事を楽しんでいる。 ブラウス43万8900円 スカート45万4300円 バッグ32万8900円/すべてラルフ ローレンコレクション(ラルフ ローレン) イヤリング336万6000円 リング313万5000円 時計105万1600円/すべてショーメ
賀来千香子さん(かく・ちかこ)18歳でモデルデビュー。1982年に『白き牡丹に』でテレビドラマ初出演。以来、テレビ、映画、舞台、雑誌など多方面で活躍中。『あしたも晴れ!人生レシピ』(NHK Eテレ毎週金曜20時~)では司会を務める。北海道の鹿追町を舞台にした映画『おしゃべりな写真館』が全国順次公開予定。
銀座 みかわや (東京・銀座)
変わらぬデミグラスソースに母娘で舌鼓
創業者の孫で4代目店主の渡仲晋平さんと言葉を交わす賀来さん。エドゥアール・マネの『フォリー=ベルジェールのバー』の複製画とツタのだまし絵が目を引く店内はクラシックな雰囲気。
家庭画報本誌にもたびたび母娘でご登場くださっている賀来千香子さん。お母様のヨシ子さんについて改めて伺うと、「穏やかできちんとしていて、心配りが行き届いている人。私の友人にも母を慕ってくれる人が多くて、89歳の今も、悩み事の相談にのったりしています」と嬉しそうに話します。
カラスのオブジェが愛らしい看板。こうした装飾や家具、食器類の大半は創業当時から受け継がれている。
温かな光が灯る「銀座 みかわや」
「変わらない味を提供し続けるのが使命」と4代目店主の渡仲(となか)晋平さんは胸を張る。
母娘で一緒に食事へ行く際は、互いに「何が食べたい?」と探り合い、譲り合い、「なかなか決まらない」といって笑う賀来さん。「でも、私と母が同じ銀座の歯医者さんへ行く日は、『みかわやさんでご褒美ランチ』と決まっています。
オードブルの生ハムとクレソン。
賀来さんのお母様、ヨシ子さんお気に入りのビーフシチュー。大きくカットされた黒毛和牛のバラ肉は、とろけるような柔らかさ。
伝統ある名店ですが、長年通っているので、ほっとできて、高齢の母も疲れません。伺うのはたいてい昼の遅い時間で、母はビーフシチュー、私はハンバーグ。2週間以上煮込んで作っているというこくのあるデミグラスソースも、とろけるようなシチューのお肉もジューシーなハンバーグも、40年前からずっと変わらず、本当においしい。
お母様が必ず注文するというお新香。お客様からのリクエストでメニューに加わったのだそう。
お箸やお新香があるのも、いいですよね。母はいつもライスではなくパンを選ぶのに、お新香もお願いするんですよ」。賀来さんのお話から、心温まる母娘の情景が浮かびました。
エントランスのモザイクタイルは、往時の銀座を行き交っていた人力車が描き出されている
銀座三越新館に改装オープンして14年。瀟洒な店構えはヨーロッパのレストランを思わせる。
銀座 みかわや住所:東京都中央区銀座4-7-12 銀座三越新館1階
TEL:03(3561)2006
営業時間:11時~20時(LO)
定休日:無休(年末年始を除く)
料金:ビーフシチュー6200円、生ハムとクレソン3200円 昼のコース7400円、夜のコース1万4000円
母娘の“思い出アルバム”
数年前、都内のホテルで撮影された仲よし母娘。「(賀来さんの甥で俳優の)賢人のお兄ちゃんの結婚披露宴に出席したときの写真です」。
ともにお洒落とおいしいものが大好きなお二人は、昔からよくショッピングや食事をともにしてきた。
「最近は父も加わり、3人で出かけることも増えました。この時間は宝物で、大切にしたいです」。
(次回に続く。
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