クラシックソムリエが語る「名曲物語365+1」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。
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第366回 クルト・ヴァイル『三文オペラ』
イラスト/なめきみほ
何が善で何が悪なのか、それが問題だ
今日8月31日は、ドイツの現代作曲家、クルト・ヴァイル(1900~50)の『三文オペラ』初演日です。そして、昨年9月1日にスタートしたこの連載「名曲物語365」の最終日にあたります。
連載においては、2024年が閏年であったことから、実際の数は366。おかげで閏日2月29日生まれのロッシーニの誕生日を祝うことができたことは僥倖でした。
そしてなにより、“1年365日毎日連載”というマラソンのようなこの企画の切り口を「その日の出来事」としたことは大正解。連載を継続するための原動力となったように思えます。とはいえ知らないことだらけ。作品とその背景に向き合う毎日は、大いなる学びの1年にして、目からウロコの日々であったことを告白します。
執筆に伴う筆者の気まぐれや我儘に辛抱強くお付き合いくださった家庭画報ドットコムの皆様には、この場をお借りしてお礼申し上げます。
さて連載の最後を飾るヴァイルの『三文オペラ』のテーマは、「人生はこんなにも厳しい、悪事には寛容であれ!」。何が善で何が悪なのかを考えさせられる名作です。
田中 泰/Yasushi Tanaka一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。