カルチャー&ホビー

「井伊」さんは、かつて浜名湖北部にあった「井の国」の王の子孫?【#名字365】

2025.01.30

  • facebook
  • line
  • twitter

墨アート製作/越智まみ

名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

井伊(いい)

「井伊」というと、幕末に開港した大老・井伊直弼が有名です。その先祖は徳川家康の四天王の一人井伊直政で大河ドラマ「おんな城主 直虎」や「どうする家康」など、戦国時代を扱ったドラマや小説にはしばしば登場します。

井伊氏は遠江の武士で、今川、武田、松平などの有力大名のはざまに位置していたため、いつも苦しい立場にありました。当主は何度も殺され、「直虎」のように女城主の時代もあったことがあります。

さてこの井伊氏、徳川幕府の公式系譜集『寛政重修諸家譜』によると、藤原北家で良門の子利世が祖とあります。このため、一般的には井伊家は藤原北家の子孫とされていますが、良門の子に利世という名は見当たらず、どうやら本当は違うようなのです。


また、井伊氏には面白い逸話があります。平安時代後期、遠江国村櫛に住んでいた井伊共資は井伊谷八幡の井戸の中に、生まれたばかり男の赤ちゃんを見つけ、その子を家に連れて帰って育てました。そして、成長したその子共保が井伊家を継いで井伊谷の地に移り住んだというのです。

これは、井伊家は共保以前と以後では別の氏族だったことを示唆しているともいえるのです。

浜名湖の北側の地域には、古代「井の国」があったとされています。ここには首長墓とみられる大きな古墳がいくつもあり、古代豪族がいたことがわかっています。

この「井の国」の王の子孫が井伊氏で、のちに藤原氏の末裔と血縁関係を結んで、武家井伊氏となったのでは、と考えられます。

浜松市井伊谷には、水田の中に井伊共保が生まれたという井戸が残されています。

森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/

セブンアカデミーで越智まみさんの「オンライン書道」墨アートレッスンが開催中。詳細はこちらから>>
  • facebook
  • line
  • twitter

12星座占い今日のわたし

全体ランキング&仕事、お金、愛情…
今日のあなたの運勢は?

2025 / 02 / 17

他の星座を見る

Keyword

注目キーワード

Pick up

注目記事
12星座占い今日のわたし

全体ランキング&仕事、お金、愛情…
今日のあなたの運勢は?

2025 / 02 / 17

他の星座を見る