〔特集〕神々の気配を感じる 聖地・開運の地へ 聖地神の臨在を感じさせる場、神に祈りを捧げる場は、常に霊験あらたか。新しい一年が生まれる正月を機に、心新たに神々のもとを訪ね、深い感謝と祈りを捧げることで開運を祈願します。
・特集「聖地・開運の地へ」の記事一覧はこちらから>>
神々の気配を感じる場へ。聖地とは一体何か──
聖地とは、一体何なのか。あえて定義すると、神の降臨(臨在)を感じさせる場、と神ゆかりの地で祈りを捧げる場の2通りになります。
神が降臨する場は、目に見えない神様の気配を感じるため、古来、人は神の依(よ)り憑(つ)く場(依代)を目印としました。巨石・奇岩などの磐座、巨木・古木などのご神木、洞窟や龍穴や瀧、山など。後に目印そのものをご神体として崇めたり、礼拝の場とすることもありました。結果的に自然が生み出した奇形や絶景など、景勝の地に人々は神の気配を感じ、祈りを捧げることになります。
一方、本当に神様が降臨する場所は山中の岩場などにあって、人を容易に寄せつけないことも多いのです。その場合、近くの平地に、神様を祈る礼拝の場が設けられました。寺社などの施設がそれにあたります。日本全国の聖地へ、目には見えない神々の気配を感じる旅に出かけます。
磐座(いわくら)信仰──ゴトビキ岩【和歌山県新宮市】
神々が降臨した熊野信仰の発祥の地神武天皇の登った「天磐盾(あまのいわたて)」とも伝えられる熊野・神倉神社のゴトビキ岩。神倉という名称は、本来は「神座」で、神の依る磐座たるゴトビキ岩を中心とした山全体の呼び名であったとも。紀記に記述される、以前から、聖なる地として信仰を集めていたと考えられる。
山岳信仰──垂水遺跡【山形市】
古来日本では、山は神が降臨する場所と考えられてきました。また奈良の「三輪山」のように、山そのものをご神体とするところもあります。山々に対する素朴な畏怖、畏敬の念に由来する信仰心です。
開山の構想が練られた山伏修行の地「立石寺」がある宝珠山の奥地「峯の浦」にあって、“もう一つの山寺”と称される。山を開いた慈覚大師の最初の拠点で、大正時代まで山伏の修行場だったと伝わる。
洞窟信仰──加賀(かか)の潜戸(くけど)【島根県松江市】
天照大神が籠もったといわれる「天の岩戸」をはじめ、古代より、洞窟や龍穴に神の気配、神の臨在を感じ、聖なる場として祀り、祈りを捧げる風習は全国各地に見られます。神霊が「籠もる」聖なる空間として――洞窟は宗教、宗派を超えて信仰の対象とされています。
女神が弓矢で射抜いた佐太大神(さだのおおかみ)誕生の地『出雲国風土記』で佐太大神が生まれたとされる場所。女神が金の弓矢を射抜いた折に洞窟内が光り輝いたことから、加賀の地名になったという。
「女神が矢を放って穴を開けてできたとされる洞窟です。小さな船で入っていくと、外からの光が射し込んできて、なるほど神の造った洞窟なんだ、と感じることができます。風の強い日には船が欠航になるので、神秘的な洞窟であるだけでなく、見ることができただけで運が良かったと思う場所です」(平藤喜久子さん・神話学者)
(次回へ続く。
この特集の記事一覧はこちらから>>)