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清明~初心を託した印半纏【連載・村雨辰剛の二十四節気暮らし】

2025.03.31

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村雨辰剛の二十四節気暮らし
庭師で俳優としても活躍する村雨辰剛さんが綴る、四季折々の日本の暮らし。二十四節気ごとに、季節の移ろいを尊び、日本ならではの暮らしを楽しむ村雨さんの日常を、月2回、12か月お届けします。

清明~初心を託した印半纏

ご自身で塗装したという黒い軽トラックで庭師の仕事へ。

ご自身で塗装したという黒い軽トラックで庭師の仕事へ。

桜便りが日本の其処ここへ届く頃。麗らかな陽射しを受けて、花も木々も空も風さえも、万物が明るく輝きを増す「清明」の季節を迎えました。

この連載を通して初めて知った「清明」という言葉は、春の清らかで生き生きとした様子を表す清浄明潔(しょうじょうめいけつ)」の略語。中国には清明節(せいめいせつ)という祝日があり、家族でご先祖様のお墓参りやお墓の掃除をするのが習わしだそうです。そこで、今回は“家のルーツ”を語る、僕の家紋についてご紹介します。

日本橋浜町の高虎商店で誂えた愛用の印半纏。

日本橋浜町の高虎商店で誂えた愛用の印半纏。

僕が家紋を作ったのは、日本国籍を取得して“ひとりの日本人になった”タイミングがきっかけです。きものなどに背紋を入れる日本の風習に倣い、この地に根を下ろす覚悟も込めて、“村雨”の紋を作ろうと決心しました。


家紋をデザインするにあたり、真っ先に思い浮かべたのが僕のルーツを入れ込むこと。家紋のデザインのベースに、僕の家系に伝わる紋章の一部を使いたいと考えました。そこに、庭木で一番好きな松の文様を組み合わせてはと閃きました。

背中にはオリジナルの家紋を、衿の部分には「村雨」の文字を染め抜きました。

背中にはオリジナルの家紋を、衿の部分には「村雨」の文字を染め抜きました。

完成した家紋は、『三つ追い組松葉』の丸紋の中に、三段に重なった山型を入れ込んだもの。山々を松葉で囲むことによって、生まれ故郷と日本の自然が融合したようなデザインが表現できました。

家紋を染め抜いた藍の印半纏をまとうと、庭師モードにスイッチが切り替わると同時に、日本人としての第一歩を踏み出した頃の初心が蘇り、気持ちまでキリッと引き締まります。多くの人にとって4月は門出の季節。僕も新たな気持ちで家紋と向き合いたいと思います。

左・袖裏にはそろばん柄を染め抜き、きりりと江戸前の風情を漂わせて。右・手首に巻きつける藍染の手甲も庭師の必需品です。

左・袖裏にはそろばん柄を染め抜き、きりりと江戸前の風情を漂わせて。右・手首に巻きつける藍染の手甲も庭師の必需品です。


村雨さんが見つけた二十四節気

村雨さんが見つけた二十四節気 街の其処ここに桜の便りが届きました。左は自宅で手入れをしているゴショザクラの盆栽。「一斉に花をつけるため、気持ちまで華やかになります」と村雨さん。右は青空に可憐に映えるソメイヨシノ。
村雨辰剛(むらさめ たつまさ) 村雨辰剛(むらさめ たつまさ)
1988年スウェーデン生まれ。19歳で日本へ移住、語学講師として働く。23歳で造園業の世界へ。「加藤造園」に弟子入りし、庭師となる。26歳で日本国籍を取得し村雨辰剛に改名、タレントとしても活動。2018年、NHKの「みんなで筋肉体操」に出演し話題を呼ぶ。朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」や大河ドラマ「どうする家康」、ドラマ10「大奥 Season2 医療編」など、俳優としても活躍している。著書に『僕は庭師になった』、『村雨辰剛と申します。』がある。

撮影/伏見早織 着付け/川上まり子 構成・文/樺澤貴子

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