フラワーショップ「FUGA」で見つけた銀色の水盤に、盆栽を鉢ごと入れている。土の表面はモスを敷き詰めて、桜の大木の下を象が歩いているような、遊び心溢れる風景を作り出した。Tips2
伝統的な床飾りを今様にアレンジ
盆栽の発祥は中国の唐といわれ、平安時代末期に日本に伝わりました。その後、日本独自の文化として進化し洗練されてゆきます。
盆栽をお座敷に飾る“床飾り”は、そんな日本的な美意識から生まれた飾り方の一つ。
掛け軸や、盆栽に添えて飾る小さな置物である添配(てんぱい)が、見る人を別世界へと誘うよう心を配った飾り方です。
多美保さんは、この伝統的な飾り方を今様にアレンジ。
縦長の紙に描かれた、バリの舞踊がモチーフとなっている絵画をお軸代わりに。桜木の根元には象の背中に子猿が乗った「クリストフル」製のピックを添配として、桜の盆栽と共に飾りました。
畳を連想させるデザインのテーブルセンターは、床の間を思い起こさせます。
さらに、鉢カバーとして使った金属製の水盤や、かたわらに添えた「バカラ」のクリスタルの蝶々でシャープな輝きを加えて、より現代的な空気感を作りました。
枝に見立てた器は、漆芸家の土井宏友さんの作品。Tips3
季節のお干菓子をデコレーションアイテムに
盆栽とともに、デコレーションテーブルに飾られているのは、桜の花や蝶々をかたどった干菓子です。
「茶席に使われるような和菓子は、季節感があって可愛らしい魅力的なものばかり。デコレーションアイテムとしても最適です」。
食べて美味しく、飾って美しいお菓子を、多美保さんは一つずつ器に置いてゆきます。その様子は楽しげで、まるで絵を描いているかのよう。
漆の細長い形の器を枝に見立て、桜咲く木々の間を黄色い蝶が舞う春の光景が表れました。