かつて、お花見やお月見などの外出用のお重として使われていた“提げ重”からインスピレーションを受け、オーダーメイドしたティーセット用収納箱。板を引き出して、カップや菓子器を出し入れできる仕組みになっている。Tips4
野を思わせるアイテムを取り入れる
多美保さんが、桜の頃に親しい人たちを招いてのティータイムに使いたくなるアイテムが、神代杉の箱に収められているティーポットとカップ。
この美しい専用収納箱は、器に合わせて
「中川木工芸比良工房」に製作をお願いしたものです。
「この収納用の箱は、部屋の一角に置いてあっても佇まいの美しいものをと考えて作っていただきました。下には菓子皿が入り、この箱一つでティータイムを楽しめるセットになっているんです」と、多美保さん。
“提げ重”をイメージさせる収納箱は、春の野を彷彿させてくれるもの。たとえ室内であっても、お花見気分を一層盛り上げてくれます。
スタンド部分が折り畳め、コンパクトに収納できる丸盆つきのアフタヌーンティースタンドは「HIGASHIYA」のオリジナル。丸盆を手持ちのお皿に変えれば、和菓子にも洋菓子にも使える優れもの。ナプキンは扇形に畳んで。収納箱と一緒に誂えた菱形の菓子皿は、神代杉と高野槙のツートーンに。ティーポットとカップは、フランス語で月食を意味する“エクリプス”と名づけられたシリーズで、秋のお月見シーズンなどにも活躍する。芳醇な香りが広がるミルク烏龍茶には、「箔一」の桜型の食用金箔を浮かべて小さなサプライズを演出。Tips5
和洋の調和に配慮したセレクトがモダンさに繋がる
「お茶にしましょうか」と、多美保さんが神代杉の箱から出したのは、フランスの陶磁器ブランド「レイノー」のティーポットとチャイニーズティーカップ。
リモージュの清らかな白磁に、墨色で優しいグラデーションが表現されたデザインは、どこか水墨画を想起させます。
「器をはじめ、ものを選ぶときには、いつも和にも洋にも合うものをという目で見るようにしているんです」。
ダイニングテーブルには、イタリアの「ソサエティ」のテーブルクロスを。ヴィンテージ風の落ち着いた風合いが、和の雰囲気にも調和します。
主菓子をのせたのは、洋菓子用のアフタヌーンティースタンドですが、プレート部分が杉の丸盆になっているため、和菓子を盛ってもしっくりとなじみます。
和と洋を美しく融合させた多美保さんらしいモダンなコーディネートは、“もの選び”の段階から始まっているのです。
横瀬多美保/Tamiho Yokose
インテリアスタイリスト
東京都生まれ。テーブルコーディネーター、インテリアスタイリスト。テーブルコーディネーターの故クニエダヤスエ氏に師事。女性誌や料理本、百貨店のディスプレイなどのスタイリングに携わる。新旧、和洋を自在に織り交ぜた、モダンでエレガントなコーディネートに定評がある。『家庭画報』とのおつきあいは30年近く。流行や時代の変化をしなやかに受け止めながら、幸福感漂う美しい暮らしを提案し続けている。
『テーブルコーディネートから始まる 美しい暮らしのインテリア365日』 2019年10月2日発売!
『家庭画報』をはじめとする女性誌で活躍する、インテリアスタイリスト・横瀬多美保さん。ご自身の1LDKでの暮らしを1年間にわたり追った『家庭画報.com』の人気連載が、ついに一冊の本になりました。コーディネートの組み立て方、“自分らしい”空間の作り方も初公開! 今すぐ活用できる暮らしのtipsが満載です。