「原作の持ち味と歌舞伎らしさ 2つの絶妙なバランスを大切に演じたい」
漫画を原作に大ヒットした歌舞伎公演といえば、多くの人がスーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』のことを思い出します。坂東巳之助さんはゾロ、ボン・クレー、スクアードの役をつとめ、それぞれ、観客の心に強烈な印象を残しました。
巳之助「『ワンピース』も新作歌舞伎『NARUTO –ナルト-』も漫画が原作ですが、僕の中では別のジャンルの芝居のつもりで取り組んでいます。そもそも原作の漫画自体、『ワンピース』が“陽”だとすれば、『NARUTO』は“陰”で、自ずと表現が変わってきます。ただ、原作と芝居のバランスの取り方……原作のファンの方にも失礼でないつくりでありながら、芝居として面白くしていくノウハウのようなものは、『ワンピース』での経験が生かせるかもしれません」。
原作ファンや、新作歌舞伎『NARUTO –ナルト-』で初めて歌舞伎に触れる人には、何を感じてほしいと思いますか?
巳之助「歌舞伎には、さまざまな見どころや特徴がありますが、“カッコいい”ことが魅力の一つだと思っています。『NARUTO』で初めて歌舞伎を観る方に“歌舞伎ってカッコいい!他の歌舞伎も観てみよう”と、古典にも興味を持ってくださるよう、つとめていきたいですね」。
古典歌舞伎と新作では、演じる上で違いはあるのでしょうか?
巳之助「古典歌舞伎には先人たちが完成させてきた“型”というものがありますから、それを受け継いでいくことが我々役者にとっては大切なことです。だから、古典を演じるときと新作をやるときでは必然的に違いがあります。新作は、古典で培った引き出しをいかに生かすことができるかにかかっています。」