自分の想像力を試したかったし、信頼して欲しかった
原作では、“まぜごはん”が重要なアイテムとして描かれています。もちろん、映画でも。劇中に登場するまぜごはんは、歌川さん自ら腕を振るわれたものだそうで、太賀さんいわく「歌川さんはお菓子を作ってくれたり、まぜごはんを作ってくれたり、そうやって現場を盛り上げてくださっていました」。そんな歌川さんの「端々にタイジを感じた」という太賀さんですが、「映画に関することは、具体的にはあまり話さなかったように思います。僕もそれを避けていたし、歌川さんも見守ってくれていました」と言います。
「歌川さんの話を聞けば知ることはできるし、理解したつもりにはなるかもしれませんが、それを自分の体を通して表現するとなると、知識として得た情報だけではどうしてもできなくて。台本と対峙して、このときはどんな気持ちだったのか、どんな景色が見えたのか、何を感じたのか……。そういうことを自分の頭の中で膨らませていく作業がないと、堂々とカメラの前には立てないと思っていて。実感が伝わらないから。そういうアプローチがあってこそ表現できるんじゃないかなと思って、なるべく避けたい、と。自分の想像力を試したかったし、そこを信頼して欲しいとも思っていました」
歌川さんは、太賀さんが10代の頃から演技力をリスペクトしていたそうで、タイジ役に決まったとき思わず身を乗り出して叫んだそう。