寧子の人間らしい部分と“なぜ?”を忘れないように
出演が決まってクランクインまでの約半年間は、「たくさん寧子のことを考えて想像していました」という趣里さんですが、考えた結果、結局は自分に返ってきたのだとか。
「こういう感情になったことあるなぁ、って自分を振り返っていました。そこから、あのときはこうだったな、じゃあ今の自分はどう思ってるんだろうとか、自分に対してどう思ってるんだろうって、寧子を通して自分が今までに経験したいろんなことを思い出したんです」
撮影に入ってからは、寧子役を演じる上で「あまりにもエキセントリックすぎると、観てくださる方の心が途中で離れてしまうだろうなと感じていて。だから、“なぜ?”というところを忘れないようにしました」と趣里さんはいいます。
「寧子は、ただ自分の感情を撒き散らしているんじゃないんです。理由があって、そうなってしまっているんですよね。それで、そうなってしまっている自分に対して自己嫌悪にも陥ってしまう。そういう、すごく人間らしい部分や(寧子の中にある)理由を忘れないようにと考えていました。でも、それは現場に入ったら全部手放します。監督、共演者、美術さん、カメラマンさん、そのほかすべてのスタッフの皆さんを信じていたのでフラットに、自然体で撮影に臨めたと思います」
「(お芝居を)決めすぎていて、相手役の方と向き合ったときに“思っていたのと違った”ってなるとダメージが大きいんですよね(笑)」