11月5日の勲章伝達式にきもの姿で出席された厚子さんと夫のラリーさん。アメリカ人の夫は「収入の10%を寄付する」と宣言
もう一人、フィッシュさんの考え方に大きな影響を与えたのが、夫のラリーさんです。
「結婚して最初のクリスマスに彼は『僕は収入の10%を寄付する』と宣言しました。私は自分自身も仕事をしていて収入がありましたから、彼のお金については自由にしてくれればいいと思ったものの、当時の夫は大手銀行の極東支配人でしたので10%はかなりの額です。どうしてそこまでするのだろうと思っていました。MSHでフィランソロピーを知って、初めてアメリカにはこういう文化があるのだと納得したのです」。
「アメリカではクリスマスに教会でお金を集めて地域に寄付しますが、そういった文化は私たち日本人にはないですよね。これはアメリカという国の成り立ちにも起因するのかもしれません。開拓時代、イギリスからアメリカ大陸に移住してきた人々がまず何をしたかというと、学校を建て、教会を建て、村をつくることでした。自分たちがつくった村は自分たちが責任を持って守る、そのために必要があれば寄付をする。そういう考え方がベースにあるのだと思います」
「先日、旭日小綬章を受章した際、いちばん喜んでくれたのは主人でした。彼はいつも、『君ならできる。やればいいじゃないか』と背中を押してくれました。勲章伝達式では天皇陛下が私たち受章者とその配偶者に対して、よき伴侶がいたからこそ成し遂げられたのではないですか、とおっしゃったのですが、本当にそのとおりで、そのお言葉がなにより嬉しかったです。同席していた主人は言葉がわからないためポカンとしていたので、式典の後、すぐに説明しました」
旭日小綬章の勲章を見せていただきました。