昨年12月には、加藤さん自身が作詞した楽曲を原案とする舞台『僕らの未来』(project K公演)で主演を務めた。――確かに、演じる役柄によって、顔つきまで違って見えます。クールなキャラクターを演じている舞台では、カーテンコールでも表情を崩しませんよね。
「僕は、カーテンコールでも意識的に役を抜かないようにしているんです。役の衣装を着てますし、イメージを崩したくないお客さまもいらっしゃると思うので。たぶんそれは、最初に経験したミュージカル『テニスの王子様』で、跡部景吾という完璧なキャラクターを演じたことが大きいと思います。漫画が原作の舞台で、お客さまが求める跡部像がしっかりとあったので、彼の格好でいる以上は、客席に手を振ったり、はしゃいだりすることは、あまりしないほうがいいな、するとしても、投げキッスぐらいかなと思って。それ以来、カーテンコールまでが本番だと思って舞台に立っています」
――今回のような科白劇(かはくげき)に出演する際は、どういうことを意識していますか?
「派手な音楽がないぶん、台詞のやりとりでお客さまを引き込まなければならないので、これは何を立てる台詞なのか、この台詞ではどこを落としちゃいけないのか、ということは、やっぱり意識しますね。特に『罠』みたいなサスペンス劇では、1つでもキーワードが抜けると全部破綻してしまう。当たり前のことなんですけど、台詞をただ覚えるのではなく、いかに自分のものとして声に出していけるか。そこがすごく大事だなと思っています」
――この『暗くなるまで待って』で楽しみにしているのは、どんなところですか?
「クライマックスの暗闇のシーンですね。楽しみであり、怖くもあります。本当に暗くなるので、お客さまもきっと驚くと思います。僕自身、2007年に初めて舞台で観た時は、“こんな展開になるんだ!”“あれ?さっきはこっちにいたのに”って、まさに手に汗を握りました。目の前の暗闇の中で、今それが行われているという緊張感は、映像はもちろん、ほかの舞台でもなかなか味わえないと思います。ちなみに、僕が“すごいな、この人。この暗闇の中でなんでこんなに動けるんだろう?”と思った、その舞台のロート役は浦井健治さんでした」