「独特の孤高感がカメラを回すと立ちのぼるのに、普段は全然違う。本質がわからなくて、興味がわく」と黒沢監督は前田さんを語る。ウズベキスタンと前田敦子さん。2つの新しいものが発見できる映画
「ウズベキスタンという、多くの人が聞いたことはあるけどイメージがわかない国が、こんなに魅力的で日本と変わらないような人たちがちゃんと生活しているんだということを画面のあちこちから発見していただきたいですね。それと同時に、テレビなどでなんとなくこんな女優さんかなと皆さんが知っているかもしれない前田敦子さんに、まったく新しい面があったんだという、2つの新しいものをこの映画から発見していただけたらなと思います。そして、ちょっとでも気に入っていただければ、ウズベキスタンにふらりと旅行などされると楽しいかと」
黒沢監督いわく、ウズベキスタンは「見知らぬ国なので、何かと不安なところがあるでしょうけど、安全で、非常に心優しい人たちばかりなので、なんの心配もいらないと思います」。そう言われても、街をさまよう葉子を観たあとでは、本当ですか?と聞きたくなります。「いわゆる怖いところってないんですよ。あるとしたら、軍事境界線とか国境付近とかで。そこは別な意味でホントに危ないんですけど、街中にはないんです。あれ(劇中にでてくる街中)は演出してますから」。そうでした。フィクションであることを忘れるほど、葉子に同調していたのは、黒沢監督のチャレンジが成功している証です。
黒沢 清/Kiyoshi Kurosawa
映画監督
1955年生まれ、兵庫県出身。大学時代から8ミリ映画を撮り始め、83年に『神田川淫乱戦争』で商業映画デビュー。近年の主な監督作に、映画『クリーピー 偽りの隣人』、『ダゲレオタイプの女』、『散歩する侵略者』、『予兆 散歩する侵略者 劇場版』、ドラマ『贖罪』、『予兆 散歩する侵略者』など。また、映画『星くず兄弟の新たな伝説』などには出演もしている。
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