自身の心境と役が「うまくリンクしたのかなと思います」
長崎を舞台に描かれる本作。セリフはもちろん長崎弁です。セリフが覚えられるか不安だった大橋さんにとっては、さらにハードルが上がったといえます。セリフを長崎弁で吹き込んでもらい、聞きながら覚えたという大橋さんですが、横尾監督と同じ佐世保出身の所属事務所スタッフに聞いてもらったところ、少し違うといわれたりも。
「やっぱり年代によっても少し違うみたいで。あと、長崎市と佐世保市では違ったり。何が正しいのかどんどんわかんなくなってきちゃったんですよね。だから、そこはもう監督に。監督の体験がベースになっていて、一番年齢も役柄に近いし、佐世保出身なので、話をしながら進めていきました。準備段階も忙しかったんですけど、長崎に行ってからも修正しなきゃいけないことがけっこう多かったので、当たって砕けろみたいな感じでしたね」
本作で役を演じることは、「いつもやっていることとはまったく違うので、普段と違う苦労だったり、悩みだったり」があったといい、「変に目立たないように、どうにかこの作品の1ピースでありたい」と思っていた大橋さん。そんな自身の状況と役が「うまくリンクしたのかなと思います」。それは、章一が「うつうつとした日常でいろいろ抱え込みながら生きている人間だった」からで、「悩みだったり不安だったり、自分を解放できないもどかしさだったり。そういうものがたくさんある人だと思ったんです」。
「自然体なのに、役に入っているというか。見た目からもう違う人に見えるんですよね」と弟・亮太役の井浦さんに感心したという。