横尾監督も井浦さんも絶賛した大橋さんのお芝居
章一には、虚言癖が。それも手伝って、人物像がつかみづらい章一を大橋さんはどのように作っていったのでしょうか。
「脚本上でもどういう人なのか、描写はないですからね。(劇中では)今の章一に至る思春期も一切ないですし。でも、現場に入って監督と新さんとカメラマンの根岸(憲一)さんといろいろ話して。こういうことを考えてほしいとか、どういう人なんだとかって話をたくさんする中で、少しずつ輪郭を作っていったところがあります。ただ、弟を中心に話が展開するので、章一の説明が多くなり過ぎても観づらくなると思うんです。だから、観る方にはちょっとハテナがあるかもしれないですけど、“いろんなこと考えながら生きてるんだな”とか“なんかつらいことがあったのかな”とか、少しでもそういうふうに見えればいいんじゃないかなと思います」
「自分を解放できないもどかしさ」を抱えている章一ですが、劇中には解き放つシーンも。そのシーンの撮影を振り返り、監督は「僕まで嗚咽が止まらなくなり、なかなかカットがかけられなかった」といい、井浦さんは「これほどの芝居はあまり見たことがないです」と大橋さんを讃えています。
「章一をフィーチャーするようなセリフもないから、観る方にとっては、この人なんなのかなっていうところはすごくあると思います」