1回では出ないOK。現場で重ねられるミクロの修正
吉田さんは、摂津を「弁護士らしさを一番持っている人」だといいますが、本作に登場する3人の弁護士の中で、 観ている人が一番嫌だなと思うのも恐らく彼。それは、多くの人が理想とするであろう弁護士からもっとも遠いから。 でも、ちょっとしたしぐさやセリフがコミカルで、クスッと笑えるところも。「今回、みんな役が重いし、悲劇的ですからね。 そんな人ばっかりの映画って、ちょっとつらいでしょ(笑)」と、本作の中にあるゆるさを一手に引き受ける吉田さんでした。 これまで多くの映像作品に出演してきた吉田さんですが、是枝組は本作が初参加。 是枝監督の現場は「淡々と穏やかに進んでいきます」。ただ、「1回でOKが出ることはまずない」そうです。 「1シーンを少なくとも3回。多いときは7〜8回、撮りますね。どうして?って思うんです、僕らは。でも、是枝さんとしては、 もう少し……たとえば顔の角度をこうしてくれないかとか、そのセリフを抑えていってくれないかとか。 ミクロの修正なんですよ。ミクロなら修正せずにそのままOKになることもありますけど、是枝組では絶対そうはならないんです」 公判までの流れは「作り話ではなく、リアルな裁判とほぼ同じなんですよね」という吉田さんも、それを撮影中に知って驚いたそう。