帯締めは馴染ませるか、効かせるか。相澤慶子さん直伝、初心者におすすめの効かせ技
今回は創業360年の老舗、「有職組紐 道明」さんにご協力をいただき帯締めをお借りしました。早速ですが、E子が自宅から持って行った白地の袋帯を相澤さんに見てもらいました。
相澤「あら、とても便利そうじゃないですか。ちなみにきものは京絞り寺田のつけ下げと合わせたいのかしら?」
ご名答でございます!
きものは京絞り寺田さんで人生初のお誂え! 透明感のあるアイスグレーの地に雪にも花びらのようにも見える絞りが入っている上に、金糸と銀糸で繊細な雪輪の刺繍を入れていただきました。袋帯は淡い色の相良刺繍がとても気に入っております。相澤さんよろしくお願いします!わたくしこの組み合わせの時は、きものや帯に使われているグレーっぽい帯締めしか選べません。
相澤「馴染ませるのもいいと思いますよ。
帯締めは馴染ませるか、効かせるかですからね。でもグレーはあなたがキレイに見えませんよ!」
相澤さん、私は「馴染ませる」しかできないんです! 効かせ技がうまくいかなかったら、その日ずっと悪目立ちしてしまうのが怖いんです。
相澤「なるほど。では初心者でもできる簡単な効かせ技で選んでみようかしら。帯が白地できものも薄いグレーなのよね……」
そう言って相澤さんが桐箱に収められている数多の帯締めを見つめます。
相澤「これがいいわね」
選んでくださった一本がこちらです!
笹浪組の「曙光」です。牡丹色のぼかしに金の矢羽根柄がとても華やかで艶っぽい一本。相澤「きものも帯も全体的に淡い色合いよね。帯締めには同系色でも濃い色を選ぶと初心者でも簡単に効かせた合わせ方ができますよ。それからきものが淡いグレーだから赤に黄味の入った朱ではなく、紫系の色を合わせるとよいと思います。これならどんな場所に行っても恥ずかしくないですよ」
帯に使われている色よりも濃い色で効かせる、ですね! いつもの馴染ませ技をアレンジするだけでできそうです。
でも相澤さん……。いつもより幅も広く金の分量も多め。帯締めがあまりにも立派すぎませんか?
相澤「40代だし、これくらい格のある帯締めを持っていてもよいと思いますよ。そして締めたらおどおどせず、堂々としていなさい。帯締めに自分を合わせるように成長していけばいいんですよ。そうしたらもっと美人になります!」
この帯締めにふさわしい女性になるよう、日々勉強しなさいということですね!
相澤「こうして帯の上に置いて選ぶことを面倒がらずにね。便利なことよりも大切なことがあるんですよ」
相澤さんは30年前から現在に至るまで、撮影で使用するきものと帯のほとんどを道明さんに運び、ひとつずつに帯締めを置いてコーディネートを考えているのです。
相澤「きものと帯の相性は実際に置かないと分かりません。それに着る人の年齢とシチュエーションも大事にして選んでいるんですよ。私はそれくらい真剣に選んでいるの」
相澤さんのこだわりが美しい誌面を作っていることを実感です。ありがとうございます。とても参考になりました!