道明さん、帯締めの疑問を教えてください!
今回帯締めをお借りした「有職組紐 道明」さんでは、E子とA子の疑問も聞いてまいりました!
お話を伺ったのは「有職組紐 道明」の森 智史さん。Instagramでは道明の帯締めの紹介や、お手入れの方法などを初心者にも分かりやすい丁寧な言葉と素敵な写真で投稿しています。Q.
組み方で格の違いはあるのでしょうかA.組み方の格の違いよりも金糸の分量で格の高さを覚えるとよいかと思います。金糸の分量が多いほどフォーマル度は強くなり、金糸が入っていなければカジュアルになります。最も格が高いのは平組で金糸の分量が多めのもの。これはフォーマル限定でお使いください。
また、丸組でも金糸が入っていたらフォーマル度が増します。つけ下げや色無地でしたら丸組でも十分お使いいただけるのではないでしょうか。どの組み方の帯締めも、金糸の分量が控えめでしたら、フォーマルからおしゃれ着まで幅広いシーンでお使いいただけると思います。
Q.
なぜ道明さんには夏の帯締めがないのですか?色や平たい形状で涼を取り入れるのが道明流です。A.春先になると、よくお客様からも「夏用のレースの帯締めはありますか」と聞かれるんです。レースはとても涼しげに見えますが、編み目が広いため、しっかり締めると構造上どうしても伸びきって細くなってしまいます。それを防ごうと、ガチガチの固さに加工している帯締めもありますが、果たして締め心地はどうなのでしょうか。
私たち紐屋としては、締めた時の心地よさを何よりも大切にしたいので、夏用の帯締めをお作りしていないんですよ。
昔は夏用の帯締なんてありませんでした。どうぞ昔にならって色や平たい形状の帯締めで涼を取り入れてください。道明の帯締めに季節はありません。一年を通してお使いください。
Q.
平組の帯締めの結び目がうまくいきませんA.成功の秘訣をお伝えしますと、実は裏が出る場所は1か所だけ(写真参照)。あとはすべて表側を出すようにしてください。裏側を出す部分を意識するとうまくいくと思いますよ。表と裏の色が異なる平組は分かりやすいので練習にもおすすめです。
裏側が出るのは黄色い点線で囲んだ部分のみということを意識して結ぶと成功します。まずは練習あるのみ!※帯締めはE子私物です。実は意外とわかりにくいのが冠組(ゆるぎぐみ)。丸組は表裏がないのですが、冠組にはあるんです。間違えてもあまり分からないこともあって、実は半分くらいの方が気づかずに締めていらっしゃるんですよ。
こちらは冠組。よく見ると表側には紐の中央に真っ直ぐ一本の線が通っていますが、裏側はその線がありません。Q.
帯締めの房は綺麗になる?A.やかんにお湯を沸かし、蒸気が出たら房を5~15秒ほどゆらしながらあてます。その後、櫛で軽く整えてあげるとなおよいですが、蒸気に当てるだけでも十分。ちなみに撚ってある房は構造上きれいにはなりません。道明の帯締めは撚っていないので、この方法できれいになります。
Q.
使った後の帯締めはすぐにしまってもよい?A.使った後の帯締めはきものや帯と同様に一日ほど陰干しをしてください。そしてできれば収納はきもの同様に桐がよいと思います。しまいっぱなしが一番よくないので、やはり定期的に空気に触れさせてあげてください。
森さん、初心者の質問を解決してくださいましてありがとうございました!
今年もきものSalon限定企画、道明さんで帯締めを組むワークショップが二日間に渡り開催されました。皆さん素晴らしい集中力で完成! 相澤さんによるお見立て会まで楽しいひと時を過ごしていただきました。身体の真ん中をスッと通る一本の紐。
そこに着ている人の個性が現れる――。お二人に選んでいただき、そんな気がいたしました。そして道明さんでは、色とりどりの帯締めが並んでいるのを見るだけで心が躍りました。E子、次にきものを着るときは怖がらずに「効かせ」技で帯締めを選んでみようと思います。正解は一つではないのですから!
構成・文/笹本絵里 中島敦子 ※この連載で取り上げて欲しい、皆さんの「いまさら聞けない」きものの基本&疑問をぜひ お聞かせください! 件名「イチから始めるきもの道」と明記し、メールにてお寄せください。 E-mail:k-salon@sekaibunka.co.jp