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化粧品メーカーが挑む究極の美肌研究。その秘密に迫る

2019.12.05

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ランコム
美肌菌研究がひらく新時代のエイジングケア


ロレアル リサーチ&イノベーションセンター 基礎研究所の鈴木 格さん

ロレアル リサーチ&イノベーションセンター 基礎研究所
鈴木 格さん

生物学理学博士。スイスの皮膚治療薬メーカーを経て2011年日本ロレアル入社。研究開発を担当。生物学および皮膚科学のエキスパート。

最新の微生物研究が美肌ケアに新しい展望を


生命科学において、現在最も注目を集めているテーマの一つが、細菌などの微生物の研究です。人の体内・体表には、細胞とほぼ同数の微生物が生息しており、私たちの体の半分近くは、微生物で構成されているとのこと。

最近、よく耳にする腸内細菌もその一部です。この最先端研究に皮膚科学の観点から取り組んでいるのが、ロレアルの鈴木 格さんです。

「皮膚にも多くの微生物が棲んでいて、さまざまな種類の花が咲く庭のような状態=マイクロバイオームを形成しています。

庭が季節や環境で変わるように、マイクロバイオームも年齢や体調、生活スタイルによって常に変化し、私たちの健康状態に大きな影響を与えています。

皮膚のマイクロバイオームは、防御機能や傷の修復や治癒とかかわっているとされていますが、まだ謎も多く、例えば多くのかたに最も多い一般的な菌種、アクネ菌がほとんどいないのに健康な肌のかたもいます。

逆に健康的な肌と遜色ないマイクロバイオームの肌でもトラブルが起こることも。万人に理想的な状態を示すのはまだ現実的ではないでしょう」

年齢によるマイクロバイオームの変化も、加齢がバランスの変容を引き起こしているのか、逆に加齢による肌機能低下を補うためにバランスが変化しているのか、解明されていないといいます。

マイクロバイオームに着目したスキンケア


「確実にいえるのは、量が激減するなど、マイクロバイオームが乱れるのはよくないということです。特に外界にさらされている皮膚は、大気汚染はもとより、日常的な過度の洗顔でもバランスが変化します。

そのため当社では、マイクロバイオームに着目した化粧品を開発し、理想的な肌を維持するための研究も進行中です」

生命科学に大変革を起こすマイクロバイオーム研究は、まだ緒に就いたばかりですが、遠からず、想像もしなかったスキンケア製品の誕生が期待できそうです。

主な肌の常在菌とその働き


【キューティバクテリウム属】

キューティバクテリウム属

●促す
・皮脂の合成を促進する

●守る
・抗酸化たんぱく質を生成する
・保護作用のある抗菌たんぱく質を生成する
・pHバランスを好ましい酸性状態に保つよう促す

【スタフィロコッカス属菌種】

スタフィロコッカス属菌種

●制御する
・炎症と免疫を制御する

●守る
・バリア機能の回復を助ける
・表皮細胞の密着結合を促し、バリア機能を高める
・保護作用のある抗菌物質を生成する

【アシネトバクター属菌種】

アシネトバクター属菌種

●守る
・免疫細胞、皮膚細胞による強い抗炎症反応を誘導する

洗顔によるマイクロバイオームの減少


洗顔によるマイクロバイオームの減少

洗顔によってもマイクロバイオームは減少し、洗顔から6時間たっても洗顔前の状態には戻らない。
*アジア人女性30名を対象にした研究

資料提供/ランコム
撮影/西原秀岳〈TENT〉(静物) 富田眞光〈Vale.〉(人物) スタイリング/高橋尚美(静物) 取材・文/近藤須雅子

『家庭画報』2019年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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