ジャケット、パンツ／バナナ・リパブリック その他／スタイリスト私物知性が漂う端正な佇まいと優しい笑顔が素敵な藤木さんだが、今回演じるのは雑誌編集者という表向きの顔を持ちつつ、闇商売でしこたま儲け、何人もの愛人を抱える不埒な男・田島。
しかし、そんな生活が嫌になった田島は、田舎にいる妻子を東京に呼び、闇商売から足を洗って真面目に生きようと決意。愛人たちと別れるために美女・キヌ子と手を組む......という物語だ。
「生瀬さんには“この作品をやることによって損することは絶対にないよ”“僕は俳優を怖がらせるような演出はしないからね”といわれました。事務所の大先輩で、僕の初舞台（2008年『冬の絵空』）でも一緒だった生瀬さんの言葉だけに、本当に心強く感じています。何度かワークショップも開かれたと聞いているので、どういう稽古になるのか、とても楽しみです」
ちなみに舞台出演は、2017年の音楽劇『魔都夜曲（まとやきょく）』以来、5作品目となる。
「でもまだ慣れませんし、舞台は僕にとって大変な場所。一度幕が開いたらやめられないので、経験すればするほど、台詞が飛んだらどうしよう!?という恐怖感が強くなっている気がします。
それでも舞台をやろうと思うのは、自分を鍛えられるから。人前でパフォーマンスするには相当のエネルギーがいりますし、1つの台本を1か月稽古し、さらに何回も本番がやれるのは、舞台だけですから」
2019年は、穏やかでどこかチャーミングなヒロインの育ての父を好演したNHK連続テレビ小説『なつぞら』や、現在放送中の『ハル～総合商社の女～』（テレビ東京）など、3つの連続ドラマに出演。さらに音楽活動20周年のアルバムを出し、ライブツアーも行った藤木さん。
「忙しくはありましたが、音楽の楽しさはまた全然別ものです。高校時代にBОØWYの布袋寅泰さんに憧れて、ギタリストになろうと思った僕にとって、ステージでプロのミュージシャンと一緒に音を出す—ある意味、夢が叶っている瞬間なので」と話す笑顔は、少年のようでもある。
