練習あるのみ! 笹島式・腰ひもの締める位置と結び方を実践しました
この日のお出かけ先は「きものアルチザン京都」のポップアップイベント。新作の展示や資生堂「クレ・ド ・ポーボーテ」による和のメイクデモンストレーションなど様々なプログラムを楽しんでまいりました。普段の結び方と違うので手間取りましたが、なんとかできました。一番実感したのは、いつもより圧迫感がなかったこと。苦しいと感じていたお腹のあたりがずっと心地よいままだったのです。それと、おへその下に腰ひもを通すことで下腹が押さえられ、補正の役割も担ってくれました。
しかし問題の裾キープは残念なことにまだ少し広がり気味……。後日、笹島先生にお会いする機会をいただけたので、裾が広がったことを相談しました。
笹島「E子さん、上前と下前を合わせるときはどこを持っているのかしら?」
衿です。もちろん、左右同じ高さで持つことを心がけております!
笹島「それがいけなかったのね。衿先から下には裾がついていないでしょう? 裾を合わせるのだから、衿を持って合わせたって綺麗には仕上がらないわよ。合わせるときはしっかりと衽(おくみ)まで持つことが大事」
衽まで! これは知りませんでした。
衿先の下に身頃の布はありません。「いくらきれいに裾を合わせようとしても衿先には裾がないのだから、うまくいかないのは当然よ」と笹島先生。笹島「まず、しっかりときものの仕組みや特長を理解してくださいね。きれいに整えないままこの結び方で結んだらずっとそのままよ。何せ絶対に崩れない結び方だから」
今度は合わせるところから意識いたします!
笹島「初心者だからと甘えていちゃダメよ。正しい着方を心がける気持ちが大事。1回成功すればよいのではなく、身体が覚えるまで練習あるのみです。この本(『初めてでもピタッと決まる! 笹島式らくワザ着付け術』)は初心者さんにもわかりやすく解説しているからおすすめよ」
後日、衽までしっかりと持って裾を合わせたところ、明らかに違いました。はっきりときものの生地を背中で感じるではありませんか。後ろ身頃がこんなにも背中にフィットするなんて!
先生のアドバイス通り衽まで持って裾を合わせたところ、背中にきものの生地をしっかりと感じることができました!これまできもの地が緩んだまま腰ひもを結んでいたんだなということを実感しました。
その後、しっかりと裾を合わせ、着くずれない結び方で腰ひもを結ぶと、帰り際まで裾すぼまりのまま過ごすことができたのです! でも一回成功したからといって喜んではいけません。先生のおっしゃる通り、身体が覚えるまで練習いたします!
これからも先生の本を参考にしてきもの道を進んでまいりたいと思います。笹島先生、ありがとうございました。
最後に今回ご紹介した本(『初めてでもピタッと決まる! 笹島式らくワザ着付け術』)の担当編集・富岡啓子さんからもメッセージをいただきました。
「笹島式は、その人自身の魅力を引き立てることにおいて秀でていると思います。今や一般的になった「空気抜き(身体ときものの間のたるみやしわなどを取りのぞいてピタリと密着させること)」も、笹島先生のご提案。長襦袢、きものの空気抜きのひと手間で、どんな体型の人もたおやかな着姿になります。笹島式の代名詞となった「骨格着付け」は、人間の骨格を研究した末に生まれたもの。「着付け道」ともいえる奥深き理論を、初心者の方にもわかりやすく解説した1冊をどうぞ」
※イラスト、結び方の写真すべて『初めてでもピタッと決まる!笹島式らくワザ着付け術』より。
『初めてでもピタッと決まる! 笹島式らくワザ着付け術』 監修 笹島 寿美 世界文化社(刊)
早稲田大学「きもの学」早稲田大学にて2007年度より始まり今年で13年目となる授業。様々なきものの分野で活躍する方々を講師に迎え、きものときもの文化にまつわる染織の世界を通して、きもの文化に関心を持ってもらうことを目的に行われています。普段は在学生のみの授業ですが、年に数回の公開講座は一般の聴講が可能。
公開講座申し込み方法:自由に聴講可。事前申し込み不要。
受講料:無料
●お問い合わせ
(一社)全日本きもの振興会
TEL:075-353-1100
URL:
https://www.kimono-net.or.jp/ 構成・文/笹本絵里 中島敦子 ※この連載で取り上げて欲しい、皆さんの「いまさら聞けない」きものの基本&疑問をぜひ お聞かせください! 件名「イチから始めるきもの道」と明記し、メールにてお寄せください。 E-mail:k-salon@sekaibunka.co.jp