声のよさも魅力の一つ。ナレーションやドキュメンタリー番組のナビゲーションも数多く務める。――現在38歳の向井さん。40代に向けてやっておきたいことは何でしょう?
「実感としては今のところ、体力的な変化は感じていないんですが、体が動くうちにいろいろやっておきたいなとは思っています。数年前までと違って、今は結婚している役や子供がいる役が当たり前になってきたので、今後どんな役柄や共演者、演出家に巡り合っていけるのか、楽しみです」
――舞台で演じてみたい役はありますか?
「翻訳劇にはちょっと興味があります。僕は今まで、海外の戯曲は初舞台(2011年、『ザ・シェイプ・オブ・シングス~モノノカタチ~』)でしか経験したことがないんです。そのときはアダムという役だったんですが、内心“こんな薄い顔でアダムとか言われても、振り向ける自信がないよ”と思ってました(苦笑)。そういう照れみたいなものがあって、以降も敬遠していたんですが、そろそろ翻訳劇の王道みたいなものもやってみたいなと思っていて。1度思い切り大嘘をついて、金髪の鬘(かつら)でもつけて演じてみるのも面白いんじゃないかと」
――いいですね。そんなことができるのも演劇ならではの醍醐味ですから。王道といえば、やはりシェイクスピア作品?
「できれば『カラマーゾフの兄弟』(ドストエフスキー作)のような、もっとダークな作品。今までやったことがないので、興味があります。初舞台から10年近くの間に、いろいろな現場で経験を積ませてもらって、僕の面の皮もそれなりに厚くなってきたので(笑)、今なら堂々とやれそうな気がしているんです。若い頃よりもずっと説得力を持たせられるんじゃないかなと」
――俳優としての今の充実ぶりを感じます。最後に、今回の舞台への意気込みをお願いします。
「いろいろな想像・妄想が膨らんで、観終わった後に何か持って帰っていただけるような作品になるように、日々精進して稽古します。ちょっと視点を変えれば、誰にでも起こり得るようなことだと思うので、7人のコミュニティを覗き見しているような感覚で観ていただけたら、面白いかなと思います。下北沢の本多劇場は、舞台の仕事を始めた頃から“いつか立ちたい”と思っていた劇場の一つ。人のお芝居を観に行くたびに“観る側じゃダメだな”と思っていたので、願いが叶って嬉しいです。9都市での地方公演も楽しみにしています。ぜひ肩肘張らずに観にいらしてください」
向井 理/Osamu Mukai
俳優
1982年、神奈川県出身。明治大学農学部を卒業後、2006年に芸能界デビュー。2010年のNHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』で注目を集める。テレビドラマや映画、舞台などで活躍。NHK大河ドラマ『麒麟がくる』に足利義輝役で出演中のほか、出演する連続ドラマW『鉄の骨』が4月からWOWOWで放送の予定。
М&Оplaysプロデュース『リムジン』
5月23日~6月14日/東京・下北沢本多劇場 全席指定/7500円 U-25チケット/4500円 3月21日よりチケット発売 お問い合わせ/М&Оplays 電話03-6427-9486
6月16日/富山県民会館ホール 18日・19日/大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ 20日・21日/愛知・東海市芸術劇場大ホール 23日/島根県民会館 大ホール 25日/広島・JMSアステールプラザ 大ホール 27日・28日/福岡・ももちパレス 大ホール 30日/愛媛・松山市民会館 大ホール 7月3日/仙台・電力ホール 5日/新潟・りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 劇場
作・演出/倉持 裕 出演/向井 理、水川あさみ、小松和重、青木さやか、宍戸美和公、田村健太郎、田口トモロヲ
http://mo-plays.com/limousine/