『家庭画報』
2017年
3月号の創刊
60周年記念大特集『京都の醍醐味』はご覧いただけましたでしょうか。四季がはっきりしている日本において、人々の暮らしはその季節に寄り添い、家々では行事が営まれてきました。古より続くこの国の美しい暮らしを守り伝承している、京都の
4人の女性とそのお家の暮らしを取材したこの特集。家庭画報
.comでは、住むように
2016年を京都で過ごした中澤編集長代行が語る、京都取材の歳時記をお届けします。
今回の特集は、
2015年の暮れから準備を始め、春のページにご登場いただいた
京舞井上流5世家元 井上八千代さんの取材から、
2016年の
12月まで続きました。何度京都を訪れたか思い出せないくらいですが、一年をかけて取材をしていくことで季節ごとの、その季節にしか出会えない美しい京都の姿をページにすることができたと感じています。
春の舞、「都をどり」が本番を迎えるまで
実に京都らしい、華やかな舞――。都をどりは、井上さんが振付けや指導、全体の束ね役を務める歌舞練場でのお稽古から取材させていただきました。厳しい教えの中で、必死に練習を重ねていく。
1か月のお稽古を見ていると、皆さんが明らかに上達していくのがわかります。
来る日も来る日も続くお稽古を重ねて迎えた本番。祇園甲部の芸舞妓の晴れ舞台である都をどりは、四季を凝縮した絢爛たる舞物語が楽しめます。お稽古から見続けてきた私も、もはや母のような気持ち……。美しい京都の春の舞を、ぜひ誌面でご覧ください。
井上八千代さんと巡る、京都の桜と美味
都をどりの初日頃に見ごろを迎える円山公園の枝垂れ桜。お忙しい中、井上八千代さんと長女の安寿子さんに早朝の桜を楽しんでいただきました。とはいえ、自然というのは予測不能なもの。開花予想が撮影日にぴたりと当たるとはかぎりません。桜の本当に美しいときは2~3日ともいわれます。被写体である桜のご機嫌をうかがいつつ迎えた撮影当日。晴れ渡る空の下、満開の桜と美しい母娘のひとときを映すことができた安堵感は、今でも忘れられません。
誌面未掲載の写真を少しご紹介します。桜にあわせて選ばれたきもの、そして帯のみごとなこと……。円山公園を訪れる際には、必ず八坂神社を参拝されるという井上さん。