ルーマニア国立バレエ団を経て、2015年夏にKバレエ カンパニーに入団。抜群の身体性と豊かな感性が生み出す、確かなテクニックと品格を備えた踊りが魅力。――理想のダンサー像、表現者像があったら教えてください。
「具体的なものは、まだないです。ただ、自分の表現みたいなものが徐々に確立されてきている実感はあるので、それを形にしていきたいです。バレエでいろいろな役を踊らせてもらうということは、自分がずっとやってきたことですし、もちろんこれからもやり続けていくことなんですが、それだけじゃなく、もっと幅を広げられたらと考えているので、30代に向けたテーマも見つけたいです。バレエダンサーはアスリートであり、芸術家でもある存在だと思うので、身体的な面だけではなく、芸術的なセンスとか表現力みたいなものも磨いていけたらなと」
――芸術面を磨くことも大切だと気づいたのは、いつ頃ですか?
「ここ数年です。東京にはたくさん美術館があるじゃないですか。もともと洋服は好きで、アートにも興味があったので、足を運んでいろいろな作品に触れるうちに、こういうこともバレエに繋がっているんだなと感じるようになりました。たとえば、『瀕死の白鳥』の終盤には、バレリーナが床に座る場面があるんですね。スポットライトが床に映すその影がとても絵画的で、ああ、あの絵に似ているなと感じたり……。そういう捉え方ができると、作品をより深く味わえるし、世界がぐっと広がる気がします」
――素敵です。Kバレエ カンパニー芸術監督の熊川さんは、高いアスリート性と芸術性を併せ持った最たる方でしょうね。細部にまでこだわった総合芸術としてのバレエ作品にいつも魅せられます。約3年半ぶりに上演される『海賊』も楽しみです。
「熊川芸術監督の芸術的感覚は本当にすごいと思います。それが振付や演出にも発揮されているから、技術面ばかり注目されがちな場面もそうはならない。調和が素晴らしいなといつも感じます。その分、踊り手に要求されることも多くて大変なんですが、コンラッドとしては、優しい面は保ちつつ、力強さも踊りで表現したいです。芸術性はもちろん、躍動的でエンターテインメント性も高い『海賊』、絶対に楽しんでいただけると思いますので、ぜひ観にいらしてください」
堀内將平/Shohei Horiuchi
東京都出身。10歳よりバレエを始め、2008年にジョン・クランコ・バレエ スクールに留学。2012年よりルーマニア国立バレエ団に在籍し、ファースト・ソリストとして活躍。2015年8月にKバレエ カンパニーに入団。プリンシパル・ソリストとして、2020年Kバレエ冬公演 熊川版『白鳥の湖』で王子ジークフリードを踊るなど、次世代を担う注目の存在。
熊川哲也 Kバレエ カンパニー Autumn2020『海賊』
10月15日~18日/Bunkamuraオーチャードホール S席/1万3500円 A席/1万1500円 B席/8500円 C席/6500円 U-25/3500円 ※感染症対策に伴う座席等の変更あり。9月6日よりチケット再発売 お問い合わせ/チケットスペース 電話03-3234-9999
演出・再振付/熊川哲也 音楽/アドルフ・アダンほか 指揮/井田勝大 管弦楽/シアターオーケストラトーキョー
出演/15日昼・17日昼:成田紗弥、堀内將平、山本雅也、小林美奈、石橋奨也、西口直弥 15日夜・16日夜・17日夜・18日:中村祥子、遅沢佑介、伊坂文月・山本雅也(18日)、結城亜美・浅野真由香(16日夜)、髙橋裕哉・石橋奨也(16日夜)、宮尾俊太郎 16日昼:毛利実沙子、杉野 慧、関野海斗、戸田梨紗子、栗山 廉、グレゴワール・ランシエ
※公演の最新情報はKバレエ カンパニーのホームページまで。
https://www.k-ballet.co.jp/contents/2020corsaire