東京2020大会はコロナ禍を乗り越えた証に
松岡 話は変わりますが、東京2020オリンピック・パラリンピックのことを、先生はどのように思われていますか。招致の際に注目された「おもてなし」についてのお考えもお聞かせください。
スキラーチェ ご存じのように、オリンピックは約3000年前にギリシャで始まりましたが、ギリシャ人はお客様は神様の化身かもしれないという考えから、客人を大切にもてなす習慣を持っていたんですね。ですから、オリンピックとおもてなしはもともと密接な関係があるのです。
東京2020大会が延期されたことは残念ですが、日本のみなさんがおもてなしの精神を発揮して、素晴らしい大会を開催してくださるのを信じ、楽しみにしています。実は私、子どもの頃に観た前回の東京オリンピックを覚えているんですよ。
松岡 1964年の大会ですね。
スキラーチェ ええ。私の地元クロトーネ出身の水泳選手が決勝戦に出場したとき、友達とみんなで誰かの家に集まって、テレビの前で応援しました。とても印象に残っています。
松岡 楽しい思い出をお聞かせくださり、嬉しいです。 僕は今回の大会は真の意味での平和の祭典になると思っているんです。世界が力を合わせてコロナ禍を乗り越えられた、その証の一つになるはずですから。
スキラーチェ 同感です。私たちがページをめくって先に進めた証となることでしょう。その開催地として、東京はふさわしい都市です。
松岡 ありがとうございます! 最後に質問です。ご著書のタイトル『「これから」の時代(とき)を生きる君たちへ』の「君たち」に、僕や家庭画報の読者は入っていますでしょうか?
スキラーチェ ええ!(笑)みなさんに読んでいただきたいです。
スキラーチェさんより~
イタリア⇔日本のオンライン対談を終えて
写真はスキラーチェさんがスマートフォンで撮ってくださったもの。自撮りもお上手です。早朝のイタリアと昼下がりの日本とで行われた対談の後、スキラーチェさんからこんな感想が届きました。
「松岡さんとの対談はとても面白かったです。松岡さんのご質問やご意見は非常にインテリジェントで、お互いの考えへの理解を深めることができました。最後のほうは、まるで友人とお話ししているようで、素晴らしい経験でした」
撮影/猪俣晃一朗 スタイリング/中原正登〈FOURTEEN〉(松岡さん) ヘア&メイク/大和田一美〈APREA〉(松岡さん) イタリア語通訳/小池美納 取材・文/清水千佳子
『家庭画報』2020年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。