見えない「風」を視覚的に表現
現代的デザインのグラスガーデン
庭の中央を流れる小川の先には、さまざまなグラス類で構成されたグラスガーデンがあります。これは「ナチュラリスティック・ガーデン」の象徴的なスタイルの一つで、オランダの景観デザイナー、ピート・アウドロフ氏が始めた手法です。
すでに21世紀を代表する景観デザイナーと称されるだけあって、世界中の多くのガーデンデザイナーが、彼の生み出す庭に感化されており、この庭もそんな世界の潮流をしっかりととらえています。
このグラスガーデンには、日本でもおなじみのススキの仲間=「グラス」が数多く植えられています。ススキといえば、河原に群れる野草の印象ですが、欧米ではひときわ美しい色合いやフォルムをもつ園芸種が次々登場して、とても人気があります。
Sanguisorba サンギソルバ
バラ科の宿根草。日本でもおなじみのワレモコウの改良種で、大きな白い穂がとても爽やかなアルビフローラ種。Hordeum ホルジューム
イネ科の宿根草。繊細な穂は徐々に赤みを帯びる。英名はSquirrel Tailで「リスのしっぽ」の意味。互いを引き立て合う巧みな植栽により、風とは呼べないような、ほんのわずかな空気の流れを受けても、さまざまな長い葉や穂が千々に揺れ、まるでさんざめく光の漣(さざなみ)、えもいわれぬ美しさです。
「ああ、風って見えるんだ」。そんな新しい発見があるガーデンは、いつまでも佇んでいたい魅力に溢れています。
Miscanthus ススキ
シャープな葉はイトススキの“モーニングライト”。株がコンパクトにまとまることからイギリスで大人気。