——作品の中で、演じる役その人として生きる、その人になる、というふうによく言いますが、河瀨組では本当に自分とは別の人間になることを求められるんですね。「そうですよね。でも、やっぱり役を積むということをしていると、上辺だけの芝居ではなくなるから。独特ですけども、そこはやっぱり河瀨さんってすごいなと思いますよね」
——『あん』で河瀨組を経験されたあと、お芝居に対して何か変わりましたか?「『あん』のときは、そこに住むとかはしていなかったんですね。ただ、(自身が演じたどら焼き屋・どら春のオーナーは)意地悪な感じには見えるんですけれども、河瀨さんからは、これが一般的なハンセン病に対する反応だからって言われて。それで、衣装合わせのときに犬を連れてきてって言われて、どら春を訪ねていく最初のシーンでうちの犬が出演してるんです。河瀨さんなりの普通の人……犬をちゃんと育ててかわいがっている普通の人なんだっていうことを出したかったんだろうなって。その奥行きがすごいと思いました」
——「犬を連れてきて」のように、本作で何かお願いされたことはありますか?「今回は特になかったですね。ベビーバトンをよくわかってくれっていうことだけ。だから、わからないことがあると代表にまた会いに行ったり。私は実親さんに“なんで手放すの?”、“育てられるんじゃないの?”って思いがあったんです。でも、のちのち考えると、(無理して育てても)虐待してしまったかもしれないし……って。実親さんにもいろいろな人がいるし、逆に養親さんは待ちに待った子供だから、本当に愛情いっぱい育てているし。そんなことを感じていましたね」
「本番中じゃなくても、河瀨さんが私にしゃべっているときは浅見に対してで。だから、ホントにずっと浅見でいなきゃいけないの(笑)」