第43回トロント国際映画祭NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)などを『第三夫人と髪飾り』で受賞したアッシュ・メイフェア監督。社会の中で女性に期待される役割に焦点を当て、映画で探求
スパイク・リー監督が脚本を激賞して制作資金を援助し、トラン・アン・ユン監督が美術監修を担うなど、巨匠たちが大きな期待を寄せるアッシュ・メイフェア監督。5年の歳月をかけて、長編デビュー作『第三夫人と髪飾り』を完成させました。
物語のベースになっているのは、メイフェア監督の曽祖母の体験。メイフェア監督の曽祖母は、「14歳で家族が決めた相手と、一夫多妻結婚をしました」。14歳でベトナムを出るまで、曽祖母、祖母、母と一緒に暮らしていたメイフェア監督は、そういった曽祖母の話を幼い頃から聞いていたといい、「社会の中で女性に期待される役割に焦点を当てることは、常に私が映画で探求したいと思っていることでした」と話します。
「今回の映画では、自分の家族の状況を使いましたが、感情の部分では私自身が経験してきたことが含まれています。私は長女だったので、母には“早く男の子を”という周りからの圧力がすごくかかっていました。また、親戚の集まりがあると、女性はみんな台所にいて、男の人たちは何もしないで座っていて。私が小さい頃に、おじいさんの隣の席に座ったことがあったんです。そうしたら、“ここは女の子が座る席じゃないんだから、向こうに行きなさい”って。これは多くあるエピソードの一つですけれども、こういったことからもわかるように、女の子って平等に扱われないんだなと思ったんです」