百田暁生さん
卓越したろくろの技が光るモダンな白磁
自然豊かな森に佇むギャラリー「in blue 暁」。「空の青さや水の波紋、四季を感じられる環境で多くの刺激をもらっています」と百田暁生(ももたあきお)さんは話します。確かなろくろ技術による美しい造形や個性的な釉薬使いによって生み出される白磁は、芸術品としての存在感と現代生活になじむ機能美を併せ持ちます。
百田暁生さん。2022年9月30日~10月3日『アートフェアアジア福岡』に出展。20歳で副島四郎さんに師事し、感性を重んじる豪快なろくろ技術を学びつつ、辰砂や天目を得意とする息子の副島信幸さんから釉薬と下絵付けを叩き込まれた百田さん。2年後には、奥川俊右衛門さんに師事し、伝統の精密なろくろ技術を修得。基礎を身につけたことで、進む道が見えたといいます。「2人の先生からタイプの違うろくろを学び、形を作り上げることの面白さに目覚めました。また、釉薬使いを自分の色で表現したいと思い、独自の釉薬を作りながらさまざまな作風に挑戦しています」。
形で勝負するからこそ絵付けはせず、代わりに釉薬でデザインを施す。造形と意匠が織り成す美しさが作品の魅力です。「毎日使っていただきたいので、見た目だけでなく使いやすさも重要です。特に口に触れるものは薄さを大切にしています」。卓越した技術に裏打ちされた、美しく使い勝手のいい器がテーブルに洗練をもたらします。
百田さんの奥さまお手製、オクラとささみの梅肉あえ、アジの南蛮漬けなどを長皿に盛って。家庭料理を一段とモダンな印象に格上げするカップは、銘々の取り皿やグラスとしてだけでなく、小鉢として料理を盛りつけるのにも重宝する。※写真は使用イメージです。左から、(1)青白磁線刻カップ、(2)青白磁カップ、(3)ライン青白磁カップ。別の写真はフォトギャラリーから。価格:各1万4300円(本体税込み)+梱包配送料1000円(税込み・全国一律)サイズ:各径9×高さ7.5センチ
発送予定:2022年9月上旬
(ライン青白磁)限定4客 (青白磁、青白磁線刻)限定各8客
3色のラインで無釉の純白を際立たせた「ライン青白磁カップ」。釉薬の溜まりが美しい景色を生む「青白磁カップ」。竹節を思わせる繊細な線が上品な「青白磁線刻カップ」。1300度にもなる窯で独自の釉薬を用いて、さまざまな表情を描いた作品。巧みなろくろ技術により薄く引かれた縁は口当たりがよい。
優れたろくろ技術による薄さが、繊細な美しさを放つ器。ギャラリー前の庭で摘んだ野花を生けたり、中央のくぼみにドレッシングやディップを入れて料理を盛ったり、素朴な花や料理をアートに仕上げる秀逸さが魅力。柔和な趣の青白磁は、季節を問わず活躍する。お正月やホームパーティなど、おもてなしの器としても個性的な華やぎを添えてくれる。※写真は使用イメージです。別の写真はフォトギャラリーから。サイズ:(大)径35×高さ2.5センチ、(小)径19×高さ2センチ
発送予定:2022年9月上旬
(大)限定4枚 (小)限定5枚
釉薬の静謐な美に気づかされる、装飾を限りなく削ぎ落としたシンプルなデザイン。中央に向かってなだらかに隆起させて作られた、1センチほどのくぼみ。花入れにしても、くぼみにディップを入れ料理を盛りつけても、絵になる器。
価格:17万6000円(本体税込み・送料無料)価格:3万5200円(本体税込み・送料無料)in blue 暁(いんぶるーあかつき)
佐賀県西松浦郡有田町黒牟田丙3499-6
TEL:0955(42)3987、080-6407-4139 営業時間:10時~17時 不定休
李荘窯業所
有田の手業を守りながら、現代の食卓に合う器を生み出す
まるでオブジェのような珠型三段重は、重箱の新しい魅力を引き出した、オリジナリティ溢れる磁器。有田焼の祖・李参平住居地跡に窯を構える李荘窯業所が手がけています。
李荘窯業所4代目当主の寺内信二さん。国内外のトップシェフとのコラボレーションを精力的に行うなど活躍の場を広げている。「李荘窯業所」は、料理の国籍を問わない器作りに取り組み、海外からも高く評価されている有田焼の窯元。4代目当主の寺内信二さんは武蔵野美術大学で工業デザインを学び、商社に入社。そこで磨かれた造形力やマーケティングのセンスを生かして、有田焼の新しい魅力を発信しています。例えば、「ピエール・エルメ」のスイーツと嬉野茶「きたの茶園」とのコラボレートで茶器を制作。また、スペイン・サンセバスチャンの名レストラン「ムガリッツ」のシェフ、アンドニ・ルイス・アドゥリス氏との親交が映像で取り上げられました。
珠型三段重をティースタンドに見立ててアフタヌーンティーを演出。嬉野温泉「菓寮 手毬」の練り切りや「ピエール・エルメ」のマカロンなど、李荘窯業所となじみの深い菓子を盛り込んで。※写真は使用イメージです。このようなトップシェフとの出会いから誕生したのが珠型三段重。「国内のレストランでも数多く使われています。おもてなしだけでなく、最近の家族は食事の時間がまちまちということも多いので、この三段重に料理を盛って置いておけば喜ばれるのでは、と思って」と寺内さん。自ら手料理で珠型三段重の日常使いのアイディアを紹介していただきました。
1段目は前菜、2段目はメイン料理、3段目はご飯ものという構成で料理が出せる珠型三段重。寺内さんが盛ったのは、旬の魚のセビーチェ、低温調理した佐賀牛のロースト、バスク風あさりのリゾット。スペイン料理に影響されたメニューでおもてなし。※写真は使用イメージです。左から、(1)染付市松文(混柄)珠型三段重、(2)本銀彩槌目珠型三段重、(3)雲母銀彩飛び鉋珠型三段重、(4)赤呉須象嵌珠型三段重。別の写真はフォトギャラリーから。サイズ:径16×高さ15.5センチ
発送予定:2022年10月中旬
小ぶりな珠型三段重は、数多くの文様がある中から4種をセレクト。おもてなしに1人分の料理を盛ったり、お菓子を盛って取り回したり、テーブルにオブジェとして置いたり、一器多用の使い方ができるのが魅力。
価格:2万6400円(本体税込み)+梱包配送料1200円(税込み・全国一律)価格:3万3000円(本体税込み)+梱包配送料1200円(税込み・全国一律)価格:1万9800円(本体税込み)+梱包配送料1200円(税込み・全国一律)価格:1万6500円(本体税込み)+梱包配送料1200円(税込み・全国一律)
有田焼の歴史は、陶祖・李参平が有田・泉山の地で磁石を発見したことから始まります。それだけに、有田焼を名乗るには磁器の生地色が美しいことが大切です。鎬(しのぎ)シリーズでは、生地を削る昔ながらの稜線文様を細かく均等に施すことで、クールな表情に仕上げています。そこに、ガラスに用いられることの多いサンドブラストで砂を吹きつけ、今までなかった表面処理を施すことで白磁に新しい質感をもたらしました。
シャープな“しのぎ”を施した清々しい印象の白磁のボウルは、サンドブラスト仕上げによってマットな手触りに。寺内さんは温かい根菜のローストをミックスリーフのサラダに盛りつけた。取り皿用の鉢には、口縁に錆釉が施されている。※写真は使用イメージです。右・白磁ブラスト 鎬ボール(L)、左2点・渕錆白磁ブラスト 鎬ボール(S)。別の写真はフォトギャラリーから。白磁ブラスト 鎬ボール(L)1点 渕錆白磁ブラスト 鎬ボール(S)2点(3点セット)
価格:2万4200円(本体税込み)+梱包配送料1200円(税込み・全国一律)サイズ:(L)径24.5×高さ7センチ、(S)径15.5×高さ4.5センチ
発送予定:2022年10月上旬
器の外側と、内側の途中まで、シャープな“しのぎ”が入った大きなボウルと、取り分け用のボウル2点をセットに。サンドブラストで仕上げたマットな質感が特徴。サラダ、煮物、フルーツなど、和洋問わず使えるのも魅力。
一方、最新作の応量器では等級の高い天草産の真っ白な磁石を使わず、あえて等級の低い磁石を使っています。「磁石は限りあるもの。もともと禅僧のためだった器に、純度の高い真っ白な器はなじまないと思ったのです」。その白磁は、青い釉薬との相性もよく、淡くグレイッシュな肌合いに仕上がりました。現代の応量器には精進料理だけでなく、応量器のルールに従ってご飯、汁物、副菜、漬け物を盛りつければ、朝ご飯にもぴったり。いつもの食卓が格上げされそうです。「今後は有田焼のルーツともいえる泉山の磁石を使うことにも取り組んでいきたい」と寺内さん。有田焼の歴史や技術を大切に受け継ぎ、現代の食卓に柔軟に応える有田焼。李荘窯業所が目指す器です。
応量器の使い方の一例。大きな器から、韓国風鶏粥、みょうがと有明ののりの味噌汁、おくらのごまあえ、ちりめん山椒、いぶりがっこ、黄色の特製ゆずこしょう。おもてなしにも日常にも使える6点がセットになった器。※写真は使用イメージです。器の表面に繊細な飛び鉋を施し、とろりとした淡い青釉がかけられた応量器。入れ子になるのでコンパクトに収納することができる。別の写真はフォトギャラリーから。淡青磁釉飛び鉋 応量器(6点セット)
価格:1万7600円(本体税込み)+梱包配送料1200円(税込み・全国一律)サイズ:(最大)径13×高さ6センチ、(最小)径8×高さ1.5センチ
発送予定:2022年10月中旬
応量器とは禅宗の修行僧が使う個人用の食器のこと。その形を磁器で写した窯元の新作。器の側面には飛び鉋が入れられている。6点セットで、鉢から小皿まで入れ子でぴったりと収まるので、収納もしやすい。
李荘窯業所(りそうようぎょうしょ)
佐賀県西松浦郡有田町白川1-4-20
TEL:0955(42)2438 営業時間:8時30分~17時 不定休
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〔1616/arita japan〕〔たなかふみえ〕の器はこちら>>