YUTAKA/アフロスポーツそして
3月号で語っていた、ソチ五輪金メダルを経ての2連覇への熱い思い。
さすがの羽生選手をしても今回の右足首の大怪我はかなり厳しい状況なのではないか……、連覇への道はもしかしたら閉ざされつつあるのではないかと思うときもありました、1月半ばまでは。
1月半ばからの氷上練習再開、校了時での『家庭画報』へのコメント、これは何とか間に合わせることができるという確信を羽生選手自身が掴んだからなのではないか、そう感じました。
そして、威風堂々と平昌五輪入りした羽生選手が語った「どの選手よりも勝ちたいという気持ちが強くある」を聞き、魂の滑りだったSP「バラード第1番」を見たとき、努力を諦めなかった天才はやはりやり遂げてしまうのではないか……と。
苦しみ、悲しみに負けないモチベーションのひとつとなっていた、ソチ五輪FSの悔しさを晴らすかのような圧勝。FS「SEIMEI」の後半、体力的にはギリギリの状況のなか、何度か転倒しそうなシーンがありましたが、何か見えない力が働いて、まるで羽生選手を支えているかのようでした。
SP、FSともに鉄壁のプログラムの再演を選択したことといい、大舞台で栄光を掴むときには、自分の努力を越えた何かに後押しされることがあるのかもしれません。
中国、韓国、ロシア、アメリカ……世界中が感動し、祝福した王者の帰還。
過酷な運命に立ち向かった勇者に、フィギュアスケートの神様は微笑みかけました。自らの力で栄光を手にした羽生選手に、心からの拍手とエールを送ります。4回転アクセルへの強い思いも夏の取材で語ってくれましたが、エキシビションが終わったら、まずは休んで怪我を直してから、元気な姿で再始動してほしいと思います。