放射線療法の副作用としては、照射中から照射後数か月までの間にあらわれる急性影響と、照射後数か月以降にあらわれる晩発影響に分けられます。
外照射の急性影響としては、皮膚の発赤やかゆみのほか、放射線が照射された臓器特有の症状が出ます。例えば、食道であれば飲み込みにくくなるといった症状です。また、疲労感が強くなったり、消化器がんでなくても食欲が落ちたりすることがあります。出やすい症状と対策について事前に放射線腫瘍医に確認しておきましょう。
晩発影響としては、生殖器や腹部への放射線照射による不妊が挙げられます。妊娠・出産を希望する場合にはあらかじめ卵子や精子の凍結保存などを行います。
「放射線照射の影響によって別のがんが発生する(二次がんになる)可能性は非常に低いので、あまり心配はありません。治療後にも定期的に診察を受け、気になることがあれば放射線腫瘍医に話していただければと思います」。
【放射線療法の副作用】
●急性影響
治療中から治療終了後数か月まで
疲労感・だるさ個人差が大きい。
数週間で感じなくなることがほとんど。
治療中は休養を心がける。
食欲不振特に口から胃腸までの消化器に照射した場合。
食事回数を増やして少量ずつ食べるなどの工夫を。
感染しやすくなる・貧血・出血しやすくなる骨盤や骨への比較的広い範囲の照射で起こりやすい。
放射線療法だけで起こることは少ない。
皮膚炎・粘膜炎・脱毛照射された部位の乾燥やかゆみ、発赤などが起こることがある。
触らないようにし、入浴時もこすらない。
医師に相談を。
●晩発影響
治療終了後数か月以降
二次がんの発生発生確率は非常に低い。
妊娠・出産への影響生殖器や腹部への照射では注意が必要。
治療開始前に医師に相談する。
※放射線療法の影響は照射部位や線量などによって異なります。国立がん研究センター「がん情報サービス/放射線治療」および取材などを参考に作成
【関連情報はココに!】
■国立がん研究センター
「がん情報サービス/放射線治療」■日本放射線腫瘍学会
放射線治療Q&A 取材・文/小島あゆみ
『家庭画報』2023年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。