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古代建築から見る、奈良「興福寺」の魅力

2023.10.03

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〔特集〕今秋、感動の体験旅へ 京都・奈良 日本が世界に誇る2大古都、京都と奈良。世界文化遺産にも登録されている、この2つの都市の文化的価値と魅力を、料亭、庭園、建築などに焦点を当てて紐解いていきます。さらに美味処、話題のスポットの情報もお届けします。前回の記事はこちら>>


平城京の高台、最良立地に建つ「興福寺」

猿沢池の北の高台に建つ興福寺は、日本の国づくりの礎を築いた藤原不比等(ふひと)によって710年に創建された藤原氏の氏寺。境内に3つある金堂の中心である中金堂をはじめ、不比等の菩提を弔う北円堂や三重塔など、鎌倉時代の建造物が天平文化の薫りを今に伝えています。


「なかでも北円堂は八角形の形をした珍しい建物。興福寺の建造物群の中で最も古く、創建当時は最も眺望のよかった境内の高台に建っています」と話すのは貫首の森谷英俊さん。

宝形造の屋根を太い丸柱で支えた北円堂は、軒が大きく張り出し、力強い印象。中世の建築であるにもかかわらず、古代らしさを感じさせます。一方、鎌倉時代の名建築といわれる三重塔は高さ19メートルと、興福寺の象徴である五重塔の5分の2。北円堂とほぼ同時代の建物ですが、繊細な雰囲気を漂わせているのが特徴です。

「どちらも兵火で焼け、再建された建造物。焼失と再建を繰り返しながらも先人の思いを今に伝えているのが、その魅力だと思います」。

【藤原不比等を祀る国宝「北円堂(ほくえんどう)」】平城京を見下ろす最良の地に建つ北円堂は、日本に現存する八角円堂のうち、最も美しいと称賛される。

【塔から金堂重視へ移行した伽藍配置】古代建築では御仏の骨を納める仏塔は伽藍の中心を占めていたが、奈良時代に入ると「法会」の空間が重視され、仏塔は金堂を囲む一画の外側に出されることとなった。興福寺は、そうした伽藍配置の早い例といわれる。

【塔から金堂重視へ移行した伽藍配置】古代建築では御仏の骨を納める仏塔は伽藍の中心を占めていたが、奈良時代に入ると「法会」の空間が重視され、仏塔は金堂を囲む一画の外側に出されることとなった。興福寺は、そうした伽藍配置の早い例といわれる。

【国宝「三重塔」は北円堂と並ぶ古さ】境内の窪地にひっそりと建つ高さ約19メートルの三重塔。匠の知恵が詰まった鎌倉時代の名建築である。

【八角形の「北円堂」内陣には運慶一門の御仏を安置】北円堂の内部には外観と同じ八角形の内陣が広がり、運慶一門の手による本尊、弥勒如来坐像を中心に、無著(むじゃく)・世親(せしん)菩薩立像など9躯が安置されている。内部は通常非公開。今秋に特別開扉あり(こちらの記事を参照)。

興福寺(こうふくじ)


奈良市登大路町48 TEL:0742(22)7755
(開)9時~17時(入堂・入館は16時45分まで)

※次回に続く

・特集「今秋、感動の体験旅へ 京都・奈良」の記事一覧はこちら>>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2023年10月号

家庭画報 2023年10月号

撮影/小林廉宜 取材・文/冨部志保子 参照資料/『古寺行こう(3東大寺 4興福寺 5薬師寺 10唐招提寺)』(小学館)、『奈良で学ぶ 寺院建築入門』(集英社新書) ※施設・店舗は臨時休業の場合があります。事前にご確認のうえお出かけください。『家庭画報』2023年10月号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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