見惚れてしまうほど、美しい青。お正月の飾り花に「ハボタン」のアレンジメントを

藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい！ 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。記事一覧はこちら＞＞

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12月の花「ハボタン」

濃い水色の花がハボタン‘碧てまり’。一瞬、水色のバラのように見えませんか？お正月に飾る花のオーダーを受け、早春を感じさせる優しいパステルカラーのブーケを制作しました。染めのスイートピー‘そらいろ’、ラナンキュラスの‘オルレアン’と‘ポントワーズ’、リシアンサス‘アンバーダブルモヒート’を束ね、シレネ‘グリーンベル’やアップルミント、ユーカリでナチュラルに仕上げました。

藤野幸信／Yukinobu Fujino
広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「フルール トレモロ」オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。著書『大切な人への贈り花』も好評。 https://www.fleurs-tremolo.com @fleurstremolo

染めの花色も美しく、ときに花以上の魅力を発揮！

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冬の花壇で大活躍のハボタンは、切り花でも昔からこの時期の定番。とくにお正月の飾り花には欠かせない存在です。花壇で見るハボタンは大きなサイズですが、切り花用はぐっと小ぶりでちょうどバラくらいのサイズ。使われているのは同じ品種ですが、育苗ポットのサイズを小さくするなどの工夫で、花のサイズを変えることができます。


最近では葉形も葉色も選択の幅がぐっと広がり、お正月に限らず、出荷が始まる11月下旬〜翌年の1月末くらいまで、贈り花によく利用しています。

バラを思わせるような整った花形（正しくは葉）でボリューム感もあり、ほかの花にはない厚手のぽってりした質感も魅力。贈り花のデザインに変化を与えてくれる「花」だと感じています。

染めの高い技術をもつ「JAながさき西海」の花農家さん生産のハボタン‘碧てまり’。ニュアンスのある水色の濃淡が美しく、染めとは思えないナチュラルな仕上がりです。

持ちもよく、使い勝手のよいハボタンですが、染めの花色が登場して以来、人気が急上昇！染めのハボタンを最初に手がけたのは、「JAながさき西海」に所属の花農家さんで、現在ではそのノウハウをメンバーが引き継いで生産しています。

淡いブルーに染まったハボタンを初めて見たとき、染め花なのにこのナチュラル感はすごい、と見惚れました。まだ名前が決まっていないと聞き、直感で「碧てまり」と言葉にしたら、そのまま品種名にしてくださったこともあり、とても親しみを感じています。

現在ではほかのエリアからも美しい染めのハボタンが出荷されるようになり、この時期の花色合わせがより自由に、思いのままにできるようになりました。「これは花なの？」「え？ハボタン！」という驚きを、花に託して贈るのはとても楽しいことです。

ハボタンを使ったブーケ&アレンジメント 

ご主人から奥さまへ、感謝の気持ちを伝えるブーケです。ハボタン‘碧てまり’、染めのスイートピー‘そらいろ’、染めのアスチルベ‘アイブルー’と3種類の染め花を選び、アネモネ‘ミストラル ラベンダー’を加えてピスタチオの葉をアクセントにしました。

青竹を花器に利用して、お正月らしいアレンジに。濃淡ピンクの中でハボタン‘碧てまり’の水色がよく目立ちます。もう1種、白いハボタンの‘フレアホワイト’も使いました。ほかにパティオペディラム、マム‘オペラピンク’、カーネーション‘かぐや’、ラナンキュラス‘ラミア’を加え、ヒカゲノカズラ、テマリソウ、コニファー‘ブルーアイス’でフレッシュ感を出しました。