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戸隠の龍に出会う。神話学者の平藤喜久子さんが龍神信仰の中心地・戸隠神社を訪ねて

2023.12.22

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〔特集〕開運招福社寺と伝説を巡る 龍神絶景を行く 開運・招福につながる、龍ゆかりの寺社や聖地巡りが今ブームです。中国由来の霊獣、“龍”とは、日本人にとって、一体何なのか。龍神パワーが獲得できる“龍脈”や“龍穴”はどこにあるのか。そもそも日本の龍神信仰とは何なのか。2024年の干支、辰(龍)にゆかりの聖地を訪ね、謎多き日本の“龍文化”の実像とその不思議を紐解き、併せて2024年の開運を祈願します。前回の記事はこちら>>

・特集「龍神絶景を行く」の記事一覧はこちら>>

戸隠──龍神信仰の中心地へ(前編)

全国に数多い龍神伝説を持つ社寺の中でも、最も強く、重要な龍神の一つである九頭龍大神を祀る戸隠神社。神話学者の平藤喜久子教授とともに、その神秘なる地へ旅に出かけました。

奥社に続く杉並木道の途中にある1710年建立の「随神門」。戸隠神社の中で最も古い建造物。左右に随身像を備えている。

参道途中の「随神門」を過ぎると、道の両脇に樹齢約400年の杉の巨木が300本以上、約500メートル続く。朝陽が差し込む中、神聖な空気を吸いながら、奥社、九頭龍社へと向かう。

奥社の隣に建つ九頭龍社の起源は849年。修験道により開山された。戸隠神社五社の中で最も古い地主神、九頭龍大神を祀る。天手力雄命(アメノタヂカラオノミコト)をはじめとする戸隠に祀られる神々、地下水脈でつながった戸隠の水と大地と人々を守る。

戸隠の龍に出会う

文=平藤喜久子


太陽の神・天照大神(アマテラスオオミカミ)が、弟の須佐之男命(スサノオノミコト)の乱暴を恐れて天の岩戸を閉ざしたとき、天も地も闇に包まれました。神々が祭を行い、天鈿女命(アメノウズメノミコト)が歌舞をして神々を笑わせ、天照大神が岩戸を開き、光が戻ります。よく知られる天の岩戸神話です。

いつの頃からか、その岩戸は天手力雄命(アメノタヂカラオノミコト)によって投げられ、戸隠山になったと伝えられるようになりました。戸隠神社の奥社への杉並木の間から差し込む朝日は、冷えこんだ空気を次第に暖めてくれます。岩戸が開いたときも、ほかの神々は日差しの暖かさに太陽の恵みを感じたのかもしれません。

中社の拝殿に描かれた、河鍋暁斎(1831-1889年)作の龍の天井画。一度は焼失したが2003年に復元された。絵の下には神楽の舞台がある。

天照大御神が天岩屋戸に隠れたとき、神楽を創案し、天岩戸を開く手だてを考案した知恵の神、天八意思兼命(アメノヤゴコロオモイカネノミコト)を祀る中社。年間70回もの神楽が奉じられる。


中社の隣、青龍殿宝物館にある「九頭龍権現御神影」の軸は、江戸時代に描かれたもの。笏杖の宝剣に巻きつく、9つの頭を持つ龍頭蛇身の姿。水を鎮めるための祭事の際に掛けられた。

室町時代に作られた檜材寄木造の「幡竿龍頭(ばんかんりゅうとう)」。旗の柱頭として祭事に用いられた。当時は色鮮やかで、幡を風になびかせ空高く掲げられた。

撮影/本誌・坂本正行 文/平藤喜久子

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