藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
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8月の花「真夏のブルー」
キキョウ、リンドウ‘プチブルー’、ルリタマアザミ‘ベッチーズブルー’、エリンジウム、クレマチス‘篭口’など、真夏のブルーを集めたアレンジを、喜寿(77歳)を迎える男性のお祝いに。ニュアンスの異なる美しいブルーに。制作している私自身も魅了されました。
藤野幸信/Yukinobu Fujino広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「フルール トレモロ」オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。著書『大切な人への贈り花』も好評。 https://www.fleurs-tremolo.com @fleurstremolo
真夏のブルーで爽涼の贈り花を。魅力的なブルーが勢揃い!
暑中お見舞い申し上げます。今回はこの暑さに一服の涼をもたらすブルーの花をご紹介します。真夏にも出回るブルーの花、意外に種類があるんですよ。
まずご紹介するのは、ふっくらした花形がかわいらしい
キキョウ。秋の七草に数えられることから、秋の花のイメージがありますが、庭では7〜8月に咲くことが多く、花期からいえば夏の花なんですね。切り花でも真夏に出回るので、暑い時期にキキョウの透明感ある青紫が利用できるのはありがたいことです。
つぎにご紹介したいのが美しい小花を咲かせる
ラペイロージアです。アヤメ科の花で、アップで見るとたしかにアヤメの風情が感じられる気も……。こういう野趣に富んだ珍しい花を生産してくださるのは長野県上伊那郡にある「片桐花卉園」さん。毎年、ラペイロージアが届くのを心待ちにしています。
そして、真夏のブールの中でもとくに青みが濃く鮮やかなのが
リンドウです。リンドウは6月には出荷が始まり、真夏の間も途切れずに入手できるので、夏の贈り花でブルーが欲しいときに重宝しています。そんなリンドウを栽培してくれるのが、長野県上伊那郡の「スカイブルー・セト」さん。育種にも力を注いでいて、毎年新しい品種をデビューさせてくれます。花色の美しさだけでなく、珍しいスプレー咲きもあり、その繊細で素朴な味わいのある姿に思わずひと目惚れ!今年も新しいリンドウを贈り花に積極的に使い、送られた方に驚きを届けたいと思っています。
真夏のブルー、まだまだありますよ。庭では花期が終わっている
クレマチスも、切り花では秋まで出荷が続きます。また、ルリタマアザミやエリンジウムのようにメタリックな雰囲気のブルーも魅力的で、贈り花の表情に変化をもたらしてくれます。
私自身がブルーの花が大好きでよくSNSにアップしていたこともあり、お客さまから「ブルーの花で」と季節を問わずオーダーをいただくことが多くあります。とくに夏の間はお店にはブルーの花が豊富に揃っているので、仕事をしながらブルーの花がもたらす涼感に浸っています。
なお、暑い時期の贈り花では、フローラルフォーム(オアシス)を利用したアレンジのほうがブーケより水切れの心配が少なくおすすめです。
一重のふっくらした花が愛らしいキキョウは、古くから日本で愛されてきた花。美しいブルーのほか白や淡いピンクも涼しげな雰囲気です。また、最近では八重咲きのキキョウも出回っています。
真夏に出回るブルーの花を使ったブーケ&アレンジメント
キキョウとスカビオサ、リシアンサスの花合わせでお盆を迎える室内の飾り花を制作しました。リシアンサスは‘NFラベンダー’、スカビオサは‘ラベンダースクープ’。ほかにセンナリホオズキ、テマリシモツケ、コニファー‘ブルーアイス’などを使用。
「片桐花卉園」さんが毎年栽培してくれるラペイロージア。花一輪はそれほどもちませんが、切り花にしても蕾が次々に開花してくれます。茎が細いので、ブーケやアレンジでラインを描くのにとても使いやすい花です。
「片桐花卉園」さんのラペイロージアと、「スカイブルー・セト」さんのリンドウ‘ラブコール’と‘マイティーラブ’の花合わせで、妹さんの誕生日を祝うお姉さんからの贈り花を制作。スペアミントやクリームチョコゼラニウム、銀葉アカシアなどを加え、アレンジをナチュラルに仕上げました。
白いリシアンサスの間にラペイロージアを挿し入れた清涼感たっぷりのアレンジです。リシアンサスは‘NF和ホワイト’。ほかにアジサイ‘ベレナクラシック’、キキョウ、メラレウカ‘レボリューションゴールド’、テマリシモツケを使用しています。