ジュエリー見聞録 11月 宝石史研究家・山口 遼さんの解説で、素晴らしいジュエリーとその見どころをお届けします。
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グラフならではの輝きを湛えた迫力のあるリング
解説/山口 遼(宝飾史研究家)
なにやら、肩を寄せ合って密談をしている指輪が三つ。これらはいずれも今流行りのカラーダイヤモンド、しかもそれぞれが完璧に近い見事な色合いという「グラフ」の逸品です。このコラムで何度も紹介しましたが、色のついたダイヤモンドは、今最も人気のある宝石です。ただ、その色合いをシンプルに表現できるものは少なく、多くは、緑がかった黄色とか、灰色が混じった青色とか、複雑なものがほとんどです。
この三点は、左からピンク、オレンジイエロー、ブラウンオレンジと、鮮やかではっきりした色合いです。しかもカットがラウンド、エメラルド、ペアシェイプとすべて異なる。さすがグラフですね。
今ダイヤモンドの世界は大いなる混乱に見舞われています。天然の原石の年間総産出量は一億カラット以上もあり、さらに合成のダイヤモンドが登場して数量的にはいくらでもある一方、カットして数カラット以上の大粒になるような、良質の原石は減っています。さらにお客さまの目が向いているカラーダイヤモンドは採れる数が非常に少なく、価格も相応に高いですから、多くの宝石商は入手が難しいと悩んでいます。
この指輪たち、作りも面白いですよ。ピンクとイエローの指輪には、左右にハートの形にカットしたダイヤモンドがセットされています。グラフも遊びますよね。どれを取ってもシンプルでありながら、迫力のある指輪です。
希少な最高峰カラーダイヤモンドの存在感を堪能さまざまな色や形が揃うダイヤモンドリング。どれもセンターストーンの美しさが際立つデザインです。右・(WG×ブラウンオレンジダイヤモンド2.80ct×ダイヤモンド)1億60万円 中・(Pt×YG×オレンジイエローダイヤモンド5.07ct×ダイヤモンド)3億9310万円 左・(Pt×PG×ピンクダイヤモンド1.96ct×ダイヤモンド)1億5570万円/すべてグラフ(グラフダイヤモンズジャパン)
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