川野泰周和尚が説く運の巡らせ方 らくらく瞑想で「開運メンタル」のすすめ 第4回 禅の教えでは、運のいい人、運の悪い人という考え方よりも、よい行いがよい巡りとなるという教えを重んじます。しかし、よい行いをするには心のありようが問題です。心が疲れていては、運の巡りもかんばしくないでしょう。らくらく瞑想を活用して心をリセットし、“運が巡る人生”を切り開いていきましょう。
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自分を慈しむ心が「開運の道」
“心の疲れ”を見過ごし蓄積すると、自責の念にかられ、「自分はこうあるべきなのにできていない」と自分に無理をさせるようになります。やがて自分の願望や理想と現実のギャップを感じ、ダメかもしれないと自己否定のスパイラルに陥る可能性があります。この状態では心の疲れは増えるばかりで、開運する道を遠ざけてしまうでしょう。
大乗仏教の教えに「自利利他円満(じりりたえんまん)」という言葉があります。自利とは自分のことを大切に慈しむ心、利他は他者への慈しみで、自分と他者の双方が満たされることで、“円満”という教えです。自分をいたわり、自分らしい生き方ができる人は、まわりを思いやることができます。他者に尽くすことで感謝され、よい運の巡り合わせが訪れるという、幸せな生き方について諭します。
実際に、自分に優しさを向ける瞑想を続けることでメンタルブロックが外れ、“利他心”が湧くことを、欧米の心理学では明らかにしています。瞑想を活用して、自分を慈しみ「自利利他」の精神を養い前向きな心を保ちましょう。縁起の法則どおり、よいご縁に巡り合うようになるでしょう。
開運メンタル術 心を慈しむ
バランスよく働くことで幸せに繫がる脳機能の一つに、大脳にある島(とう)皮質があります。この部位は多くの役割があり、自分の体の内側の感覚を処理する、他者の気持ちに対する共感性を発揮するなど、私たち人間が社会生活を営むうえで欠かせない重要な脳機能を担っています。ここで紹介する瞑想は、自分をいたわることで、脳のストレスがゆっくりと解消され、バランスが取れていきます。自分を慈しむことで心を健やかにしていきましょう。
自分に優しさを向ける、らくらく瞑想
無心になる
携帯電話はオフにして、何も考えず、空や木々を気がすむまでぼーっと眺めましょう。自然の中で行うとさらに効果的です。だんだん脳疲労が癒やされていくでしょう。
鎖骨下トントン (1)手を交差させて、両指先が左右の鎖骨の下あたりに当たるように手を置きます。
(2)右、左と片手ずつ交互に、指で鎖骨の下をトントンと軽く叩くようにします。
(3)気分が落ちているときは少し速い速度でトントンし、寂しいときはゆっくりとトントンするとよいでしょう。
(4)最後に深呼吸をします。
足湯で調う ぬるめのお湯に足をつけて、ゆったりと自分だけの時間を過ごしましょう。自分をいたわることで心が緩んでいきます。
欧米の心理学では仏教の「自利」を「自慈心」(セルフ・コンパッション)といい、自己受容を育む心の要素としています。自分というあるがままの存在に自然な慈しみの心を自ら向け、受容することでぶれない心の土台となります。
(次回へ続く。)
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