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難読の「分目」さん。読み方のヒントは「実在する名字で五十音順の最後」になること

2025.03.24

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墨アート製作/越智まみ

名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

珍しい名字:分目(わんめ)

小学校や中学校、高校時代の出席簿で50音順に並んだ際、最後の名字はなんだったでしょうか。「和田」や「渡辺」「渡部」だったという人が多いと思います。福島県の浜通り地区だと「藁谷(わらがい)」だったという人も多いでしょう。それでは、日本人全員を五十音順に並べたら何になるでしょうか。

実は、外国には「ン」で始まる名字があります。アフリカには「N'D~」で始まる名字があり、これをカタカナにすると「ン~」になるのです。しかし、日本をルーツとする名字には「ん」で始まる名字はありません。

ネット上には「兼坂」で「んねさか」と読むなど、「ん」で始まる名字が紹介されることがありますが、残念ながらそれらは実在しません。実在する名字として一番最後になるのは「分目」なのです。


「分目」と書いて「わかれめ」「わけめ」と読むと、「和田」や「渡辺」より前になってしまいます。「分目」は「わんめ」と読む難読名字なのです。

ルーツは上総国市原郡分目(わんめ)という地名で、現在の千葉県市原市分目です。

江戸時代以前からある地名で、由来はおそらく道の分かれ目のことで、それがなまって「わんめ」となったものでしょう。現在でも、「分目」という名字は市原市や木更津市、君津市などにあります。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/

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